Heaven helps ....

今日は朝の立哨で正門に立つ日。その後すぐさま、出張の担任の代わりに朝のHRへ。そのまま1限は国語の試験監督。自分の出題科目では1年オーラルの解答用紙に不備が2点。コピペでのミス。陳謝。2年オーラルの問題に1語タイプミス。この問題は採点対象外。自爆!いかんなぁ、こんなことでは。リスニングテストは、モノローグ(アナウンス、スピーチ)の朗読。巡回で教室に行き、そのまま読み上げる。これが一番速くていい。教科書のタスクにあった対話文も、サマリーの出だしだけ書いておいて、続きはディクトグロスの要領で、書き取らせれば、充分運用力が試せるのではないか。次回以降更に検討の予定。高2は「熟達度チェック」で扱った「音そのもの」の識別問題も。今回は -th-と /f/の識別、pool とpull、putとpotなどもテスト。口元を見られると分かってしまう問題もあるので、紙を顔の前に立てて発音。疲れました。次回は監督の先生には前にいてもらって教室の後ろで読むことにしよう。
明日は、高1の英語 Iと高3の英語 II。詳しくは明日以降にレポート。
昼に教科書会社が営業に。某T社。営業に来る前に、自分の会社の教科書を書いていた人間がそこにいるとか、調べておかないのだろうか?まあ、この人に罪は無いのだが…。先日、編集部から私の勤務先を確認する電話がいきなり学校にあり、その際の対応も失礼極まりなかったので、この会社に対する私の印象が好転することは二度と無いだろう。プラマイマイナスですっ!
放課後は英語科会。白熱したが、湯茶付きでそれなりに充実感。
ようやく、床屋に行けると思ったのだが、行ってみると臨時休業だった。ついていないものだ。
週末の県体参加時の宿舎をようやく手配。電話がすごく遠くて、いっこく堂かと思ったが、無事確保できて安堵。プラマイプラスです!

GTEC Writing Trainingでのグラフ説明の手順をもう少しきちんとしておこうと思ったので、今春の広島大の第5問をもとに、あーでもない、こーでもないと下手の考え。
この出題は、グラフが示されるだけで、キャプションもなく、解答に当たっての制約が何もないので、何を書いても致命傷になりにくい代わりに、少なくとも9.11とSARSの影響がそれぞれ、2001年と2003年というのが指摘できないと突き抜けるのも難しいだろうと思う。ただ、グラフの前半で何かを語れる受験生はどの程度いるのか?
1964年に海外渡航が解禁となったことを知る受験生はまずいないと思われるのだが、73年の変動相場制完全移行は現代史や政治経済で学んでいるのではないかと思う。85年はプラザ合意。日本ではバブルへと移行する。91年は湾岸戦争とバブル崩壊。95年、円最安値。98年ロシア通貨危機と米国の大幅利下げで円高へ。というような概要でしょうか。
実際の入試では、合格した受験生はどの程度の英文が書けたのでしょうか?昨年の東北大、九州大の「要約」のように、こういったライティング力としての英語力がモノを言う出題で全体の出来が芳しくないとすると、来年度は違うタイプの出題になることが予想されるのですが、是非とも続けて欲しいと思います。広大関係者よりの情報をお待ちしております。

上級者向けのライティングの参考書として、新刊を紹介。

  • 和田朋子著『はじめての英語論文 引ける 使える パターン表現&文例集』(すばる舎、2007年)

大学生の英語論文指導で使用したハンドアウト集が洗練されて一冊の本になったもの。和田先生の学習者(いわゆる帰国子女です)として、研究者として、そしてライティング指導者としての足跡が感じられるいいガイドブックです。
ライティングの実地といっても、巷では、

  • これから何を書くかを述べる
  • 書く
  • これまでに何を書いたかを述べる

などと単純化された原理原則から一歩踏み込むと、トップダウンの方法論に依拠している教材やシラバスが多く、序論に特有の表現・フレーズは?本論ではどんな論理展開が要求されるのか?その展開に特有の表現・フレーズは?と実際の書き方を学ぶ側が、文を書き始める、段落を書き始める際のボトムアップな手順はあたかもブラックボックスで、結局は、実際に多くの論文に当たって「定石・定番」を覚えるしかないという印象が強いものです。
その点、本書は論文英語に求められるスキルを厳選し30に分類し、そのスキルを達成するのに必要な言語材料を段階的に豊富な実例を用いて示しています。英語論文 threshold levelのspec表を示したもの、とでも言えばいいのでしょうか。各フレーズの導入で用いられるパラグラフの多くに、和田先生の専門分野である第二言語リーディングや英語教育学をテーマとした英文が出てくるのも面白いところ。
Can-doの記述からタスクに落とし込むところで多くの指導者や教材作成者、シラバスデザイナーが苦心・腐心、時に不振、さらには不審に陥ったりするわけですが、本書では、個々のタスクは全く含まれていません。そこは和田先生の授業の中での課題の出番となるわけでしょう。「タテ糸」をお膳立てして、「アイデアジェネレーション」も改善して、「テーマ語彙」も準備したのに、何故、学生は書くのが難しいと感じるのか?という部分に光を当てた点が素晴らしいと思います。
さて、本書を活用するのが「高校生」という場合を想定すると、SELHiや英語科の生徒で、かなりライティングに習熟した段階、ディベートをこなしてきた段階で、第2部の「論文英語の基本フレーズ30と言い換えバリエーション650」にある表現を自分のライティングで使ってみる、というようにかなり限定されるだろうと思う。
たとえば、「Unit 27 表やグラフの説明をする」では、Table 〜 shows … 「〜の表は…ということを表している」という基本表現とライティングでの実例をパラグラフで示し、summarize / appear / indicateというバリエーションを示すという構成。さらに、illustrate / describe / give an outline of 〜 / outline / sum up / be indicatedなどの受け身/ suggest / imply など動詞の言い換えを豊富に示している。基本表現とバリエーションではニュアンス上の注意や語法注記も与えられているが、基礎力のできた生徒でなければ消化吸収が難しいだろう。全てを覚えようというのではなく、あくまでも、実際に課題を書くときに使っていくハンドブックと捉えるのが良い。やはり、このレベルのライティングになると大学に入ってから、ということになるのだろう。
他には、コロケーションにも注意が払われており、辞書の活用法なども記される第3部も有益。電子辞書に関しての言及はないので、そこは現場の教師に相談を。タイトルにある「論文」という文字にひるむことなく、英語力向上のために頼りになるこの一冊を多くの人に手に取ってみて欲しい。高校のライティング担当教師にもオススメです。私は、自分のライティング指導の位置づけで、頭出しチャンクの次の一手がはっきりと見えたので大収穫でした。和田先生、ありがとうございます。

自分の学校のシラバス改編にも使えるだろうと思い、いくつかの高校の「シラバス」(といいつつ、進度表なのだが)をダウンロードして比較して眺めているのだが、文科省がいくら指導要領を変えようが、戦略を立てようが、英語教育改革は日暮れて道通し、という感じがする。相も変わらず、OCでは文法の準教科書を用い、『フォレスト』を一括採用というようなパターン。はみ出たオーラルはどこへ?といえば、英語Iに押し込んでいる高校もある。文法を週2時間で「体系的」に扱い、残りの週3時間で、「英語 I」の教科書と、「オーラル」の教科書の中の一部を扱い、さらに単語集の小テストがある。インプットの量はどう確保しているのか?いったい、インプットはいつインテイクに繋がるのか?こういう指導を放置しておいて、高2、高3で「ライティング」を改善しようとしても無理なのだが、当事者は、そのような指導こそが英語力の養成に繋がると信じているわけで、おたがいの正論をぶつけ合うだけで議論は噛み合わず、突き抜けることもない。議論そのものが「紋切り型」で終わることになる。英語教育に関わる学会は日本に多々あるのだが、こういう問題に性根を据えてとり組むところはないものか?と思っていたら、同じような指摘(ジレンマ?)が、浅野博先生のブログでもなされていたのを発見。(→http://blog.jirco.jp/archives/50958913.html)今度お会いする機会にでもいろいろ伺ってみよう。

本日のBGM: Heaven Only Knows (Electric Light Orchestra)