授業で使う英語の歌

授業で英語の歌を利用している教師少なくないだろう。では、どのような歌を使っているだろうか?
自分の規準にあるのは、「生徒がこの授業以外で、一般のメディアからでは耳にすることのないであろう曲」である。60年代から90年代まで、英米を中心にポピュラー、ロックなど様々なアーティストを選ぶが、最近はSSW(singer songwriter)をとりあげることが多い。優れたSSWは他の歌手に曲を提供しているだけではなく、数年、十数年経って他のアーティストがカバーしたりするので、同じ曲の異なるバージョンを聴かせることも可能であり、繰り返しの単調さに少しはバラエティーを与えることができる。
今回はランディー・ニューマン(Randy Newman)の"Louisiana 1927"。リリースは1974年。ネヴィル・ブラザーズでおなじみアーロン・ネヴィルのバージョン、さらにはランディー本人の30年を経てのセルフ・カバーもある。
実際に1927年に南部諸州を飲み込んだ大洪水を題材とした曲で、メインの作業であるライティングタスクへの布石・伏線として導入。スマトラ沖地震による津波、北米の冬の嵐と水害、中越地震など災害との関わりを考える手がかりを与える意図がある。
この当時の曲、またランディー・ニューマンなどベテランのアーティストにあって、最近の歌手にない決定的な要因としてはストーリーテラーとしての資質といえるだろう。上質の「フィクション」として楽しめる奥行きのある曲となっているため、聴き込むごとに新たな発見が得られる。
歌詞にPresident Coolidgeが出てくるので、「第30代大統領のクーリッジは共和党ですよ」と問いかけてみたが、「南部」と「共和党」でピンとくる生徒は皆無。「南北戦争、奴隷解放で有名なリンカーンも共和党。」、「最近ではビル・クリントンは民主党の大統領」とヒントを与え続けて、どうにかこうにかpoor whites といわれる南部諸州の白人貧困層の置かれていた状況を説明する。などということをやっているとあっという間に授業時間は終わってしまう。
来週は、庶民の暮らしに関連してJohn Hiattの"You may already be a winner"でも使おうかと考えている。
ところで、ランディー・ニューマンの初期の名曲"Sail Away"を綾戸智絵がカバーしているのが、2000年のアルバム『Natural』に収録されているらしい。この1曲だけでアルバム買うのもなんだから、誰か持ってませんかねえ?