"Don't you know I'm an animal?"

過去問演習嫌いの私が「センター試験」の素材文をこのところ連続で取り上げています。
これまでも、年度ごとに1月末とか、2月の初めにはセンター試験問題批評を書いてきましたが、ここにきて年度に関わらず「英文そのもの」を取り上げているのは、「センター試験の英語とは、一体英語の何を問うていた試験だったのか?」に関する考察を,センター試験がなくなる前の今のうちに、少しでも残しておきたいからです。
f:id:tmrowing:20181014045921j:plain


ということで、2017年センター試験 第5問。
この問題は、過去ログでも簡単に触れていました(http://tmrowing.hatenablog.com/entry/20170116)が、手書きノートの画像ファイルをこちらに貼って、再度解説を加えておきます。

この年の本試験は「朝起きたら猫になっていた」という文章でした。過去ログでも書いたようにSNSでは、「『君の名は。』の影響」などという声がチラホラありました。確かに、猫になったのは「もともと人だった私」ではあるのですが、「その元人間の私の中には猫が入っている」という確証はなく、登場人物(猫物?)同士が入れ替わっているとは断言できません。また、肝心の「猫」の素性は、この物語の中では一切扱われずじまいなのです。いったい、この猫はもともと何処にいたものなのか?そして、どこへ行くのか?を読みながら気にするだけ無駄なのです。ということで、ただでさえ「ナラティブ耐性」の弱い受験生には手強かっただろうと思います。

第一段落では、朝起きてからの行動と心理が描写されていきます。


17_5_1.jpg 直

  • I felt very sharp, much sharper than usual.

では、「感覚がいつもよりも鋭敏になった」という「変化」を掴まえることが必須。この後、聴覚、嗅覚と続いて、身体感覚へと進んだところで、異変に気づく、というまとまりで次段落へ進みます。

「声」を発する描写で、猫になってしまった私は、「voiceを発する」のではなく、「soundが出てくる」と、voice という名詞を避けているところなどは、narrativeのスキルとして押さえておきたいものです。
身体描写の fur に関して、生きている動物に「毛皮」というのは私には抵抗がありますが、生徒はあまり気にしていないようです。辞書の定義をいくつか引いておきます。三つ目のCambridge Advanced の定義文が参考になるでしょうね。

  • the hairy coat of an animal especially when it is soft and thick (MW’s)
  • the hair covering the skin of certain animals. Fur grows on many mammals and usually consists of a short, soft, thick undercoat thinly covered by a longer, coarser outer coat. (World Book Dictionary)
  • the thick hair that covers the bodies of some animals, or the hair-covered skin(s) of animals, removed from their bodies (Cambridge Advanced)

“than usual (= いつもより)” とか “from downstairs (= 下の階から)” とか、前置詞と思しき語の後に、形容詞や副詞が来て全体で「どどいつ」となるものは、やはり慣れが必要だと思います。thanの場合はその後にS+Vの所謂「節」が来ることもあるので、省略されたものを補ったり、復元したりするのは骨が折れます。from の場合は、“from above (= 上から)” や “from within (= 中から)” など、頻度のそれなりに高い表現にそれ以前に出会っていない学習者であれば、高校卒業前に整理してあげてもいいかなとは思います。ただ出口までに残された時間はそれぞれ、それなりですから。

第2段落は、いきなり強調構文(itの導く「分裂文」)が続きますが、この効果は受験生に伝わっていますかね?


17_5_2.jpg 直

第3文での

  • Everything was as usual except that SV ….

での except が何に対する「除外;例外」なのかを確認しておいた方がいいかもしれません。少し間をおいて明かされる、

  • I seemed to have changed into a different creature.

では、「意味上の時制のズレ」が表されています。 I seemedで、「私の推量」を表す部分の基準時制は過去形で、「変身」したのはそれよりも時の上流にあたるわけですから、to change と単純な原形ではなく、大関 (have) の助けを借りて、to have changed と「完了形の不定詞」になっています。もっとも、これ以前にこの項目を学習していないと、ここで熱く説明しても難しいでしょうね。

この第3文で、“creature” という語を選択したのには何か目論見があるのかな、と思いましたが少し後の、第6文の自問自答、

  • I wondered---would I have to spend the rest of my life as an animal?

では、 “animal” となっていて、「私が変身した動物は一体何なのか?」という読者側の疑問に対して、建前上は答えを宙ぶらりんで進めようということなのでしょうか?

でも、これは「センター試験」でよかったですよね?ここを私大入試や個別入試でよく見られる出題形式の「下線部和訳」で問われたときに、 “the rest of my life” のところを(?)「私の残りの人生」としてしまうと、面白さは激減してしまいますから。

この続きも、表現や構文そのもので難しいところは殆どないのですが、変身を悩んだり不安に思ったり忙しいなと思いきや、それらの感情がすぐ消えて散策を始めようという件は「カフカ」とは偉い違いだなと思っていると、

  • So, with a wave of my tail,

で情景描写・心理描写を添えているのですね。
「So (= それで) って、どれで?」「しっぽフリフリ、っていうのは何を彩りたい表現?」という具合に、感情と行動を結びつける因果関係が何も述べられなくてイインカイ!という不満を抑えてこの段落の最後まで進むと、

  • A cat’s mind is said to be changeable like that.

とあるわけです。ここで “A cat’s mind” が主語になった途端「むむっ?」となりますよね。いや、ここで初めて「猫」って明かしているのに、その猫の習性を前提とした、“changeable” という形容詞を持ってくるのはいかがなものかな、と。(実を言うと、初め私は、ここを “challengeable” って読んでいました。老眼鏡の度を新しくしないと…。)

“A mind that is easy to change like that is what you might expect to find in a cat.” みたいな流れで種明かしするものなんじゃないの?というのが私の感想です。いや、テストで読ませるなら、もう少し上手く書くけど。

第3段落は、「家庭内探索をする猫」の場面の移り変わりから始まるはずですから、時系列と言動、そしてその背景にある心理の対応関係を掴むことが大切、だというのが物語文での定石でしょう。


17_5_3&4.jpg 直

特に接続詞の as は、「時」「理由」「状況説明」など、読み進めていって、名詞の数と動詞の相と形容詞・副詞の比較級、そして「どどいつ」との兼ね合いで意味が明確になると思ったほうがいいので、丁寧に扱いたいところです。私の手書きのメモの方を御覧ください。
ここでは場面の移動で,嗅覚に関わる比較級を積み重ねて、「猫の感覚(複数形)は人間のそれ(ら)よりも鋭い」と、猫 > 人という記述につなげていることに気付いて欲しいですね。

この段落では、「自分は猫になっていて、人間の私に気づく」描写が出てきました。
そして、その続きの第4段落にある「人間の私の描写」で、「猫背」であることが書かれます。

  • Bending my head down toward the phone
  • I was sitting with rounded shoulders and a curved back.

日本語の「猫背」に当たる姿勢や特徴を英語で描写する際に使われる「語」、といえば “stoop” が代表的でしょうが、動詞であれ、名詞であれ多くの高校生、受験生の守備範囲にはないでしょう。
これも辞書の定義をいくつか引いておきます。

COBUILD の定義では動詞で

If you stoop, you stand or walk with your shoulders bent forward.

とあり、用例で、

She was taller than he was and stooped slightly.

の1例のみ示しています。名詞としては、

Stoop is also a noun.
He was a tall, thin fellow with a slight stoop.

という用例をあげています。

MW’sでは、

to walk or stand with your head and shoulders bent forward

という定義の後に、

He tends to stoop as he walks.

という例をあげています。
でも、これでは、「前かがみ」「肩をすぼめる」という「動作」との違いがはっきりしません。

Cambridge Advanced では、

If someone stoops, their head and shoulders are always bent forwards and down:
He’s over six feet tall, but the way he stoops makes him look shorter.

とようやく実感、イメージの浮かぶ定義と用例を載せてくれています。ありがたいことです。ケンブリッジ飛鳥選手のように爽やかに優駿ですね。

ここでしつこく、姿勢の描写と英英辞典の定義にこだわってきたのは、日英語の違いを考えておく必要があると思ったからです。日本語では「猫背」という動物の比喩が使われていて、「猫の姿勢、仕草」からの連想が生かされていますが、英語表現そのものには一切「猫 (= cat)」はないことに留意したいと思います。できれば、指導者だけでなく、高校生にも分かって欲しいところです。
ここで、WBDのこの定義を見て下さい。

5. (Figurative.) to swoop like a hawk or other bird of prey.

「英語話者」の連想は、猫よりは猛禽類ということなのでしょう。

ということで、このような描写があるにせよ、「猫背でスマホ画面に没頭する人間の私」の中身が猫であることを裏付ける記述は一切ないので、やはり個人的には「人間と猫の入れ替わり説」は却下したいと思います。

次の第5段落では、「人間の私」の描写が続きます。出だしこそ、「猫になった私の人間時の記憶の振り返り」などが描かれますが、「人間の私」の描写は、全く魅力的な人物像ではないことに注意したいものです。


17_5_5.jpg 直

でもその「面白みのないヤツ」感を得るためには、

  • , but it appeared that SV. での「人間の私の(猫になった私から見た)良くない印象」
  • Actually, S in my memory V. での「(今は猫である私の人間時代の)味の記憶の曖昧さ」
  • I couldn’t remember what V. での「(味だけじゃなく)食べたはずの品目の記憶の弱さ」

という個々の表現、文がきちんと読めることが不可欠です。

  • The human I was just sitting mindlessly putting in my mouth anything that was on the plate while handling the phone.

の一文では、「付帯状況」「同時並行」を、頭の中で描けるか、ということが問われています。間違っても、mindlessly のところを、「人間の魂が抜けて猫になった」というような解釈にはつなげないで下さい。比喩ですよ比喩。
COBUILDでは、この副詞 mindlesslyのもとになっている形容詞 mindlessに、

If you describe a person or group as mindless, you mean that they are stupid or do not think about what they are doing. [DISAPPROVAL]

と定義文を与えています。ここでの注記の名詞、disapproval のもとになっている disapprove (of) は、

If you disapprove of something or someone, you feel or show that you do not like them or do not approve of them.

という意味です。「嫌悪感」というキーワードは、ここで既に「におい」を放っているわけです。

最後は、In fact でスポットライトを当てて、「無表情」という描写で終わっています。えっ?approve of がわからない?そうですか。

1. If you approve of an action, event, or suggestion, you like it or are pleased about it.
2. If you approve of someone or something, you like and admire them.

ということです。
そういう「におい」に敏感になった上で、次の一文も読み直したいものです。

  • I was so focused on the text messages or games that I took little interest in what was happening around me.

「そんなに、って、どんなに?で後で種明かし」という so … that SVは分かっているとは思いますが、 “took little interest in …” のlittleは「ほとんどない (= very little; only a little)」ことを表すので、絶対に読み落としのないようにしたいものです。 

次の段落では、朝食をとっているダイニングルームでの母親とのやり取りが書かれていますが、よく読むと、母親から声をかけてもらうだけで、「人間の私」はことばを発していないことに気づきます。


17_5_6&7jpg.jpg 直

この展開をみると、筆者ややはり、「人間の姿をしているけれど、中身は猫」で進めたいということなのでしょうか?

物語文の定石、「感情の変化」と「その原因」を見ると、

  • A sign of frustration briefly appeared on my face, but it disappeared in an instant.「ムッとしたかと思いきや、すぐにその兆候は消えた」

とあります。「猫の気分は変わりやすい」ことを反映しているからでしょうか?

  • My face was again as expressionless as it had been before.

での形容詞expressionless (= 無表情) は、前段落での、 “my face had no expression on it at all” を言い換えたものであることは分かりますよね?安全弁というか、予告というか、ここでの “again (= また;再び)” が、限定詞としても使う anotherと同様に、先行文脈をしっかり辿り直させる、a tool for keeping it on (the right) truck のような働きをしていることも覚えておいて下さい。

そして、「人間の自分を猫の目を通して見て初めて客観視できたことによって生じた嫌悪感」が示されてこの段落は終わりです。

次の段落で、いよいよ「私と猫」の遭遇です。
ここを読み進めていく中での最大の驚きは、以前も指摘しましたが、 “There’s a cat in the dining room!” という「人間の私」のセリフです。

自分の家で飼っている「飼い猫」であれば、名前で呼ぶでしょう?「タマ」とか「ミケ」とか。因みに我が家は「クグロフ」「パンナコッタ」「マリ」「クロ」の4匹です。「タマ」は昨年亡くなりました。

この猫は「飼い猫」じゃないのに、ダイニングルームにいるんです。「どこから紛れ込んだ設定なのか?」と普通なら思うところですが、そもそも論として「紛れ込む」ことすら想定していないんですよ。だって、さっきの英文は、 “There’s a cat in the house.” じゃないんですから。
「家の中に知らない猫がいてもおかしくないけど、ダイニングにいたら驚くよね?」という家庭なんでしょうか?いくらなんでも…。
ということで、荒唐無稽なフィクションに付き合ってあげる読者、受験生側の度量の大きさも試されているわけです。

そして、次段落の逃走劇から大団円。


17_5_8.jpg 直

17_5_9&10.jpg 直

それでもやはり最後の「夢オチ」には不満が残るでしょう。
第2段落の冒頭で、目が覚めたときにいた自分の部屋、自分のベッドの上、と強調構文を二回使ってまで、部屋の描写・記述をしていたのに、その自分の部屋の様子に何も触れることなく、「部屋の窓の外にジャンプ」してしまうって何なんでしょう?

逃げなきゃ?何処に逃げる?自分の部屋だ!あ、でも、ここは今「人間の私」の部屋なんだった。あーっ、どうしよう?んっ?窓が開いているじゃないか、私に朝起きたときに窓を開ける習慣なんてあったかな?まさかアイツが?いや、そんなことを考えるよりも、今は逃げるのが先、今の私が本当に猫なら、きっと身軽にぴょんぴょんぴょーんって…。

のような展開が、私の持つ「話型」ですね。


“The human I” とか、前半はさんざん伏線を張って、「入れ替わってるぅ〜?」などとSNSでは盛り上がるくらいの凝った描き方&書き方をしていたんですよ。
それが、“Bump!” という衝撃で目が覚める、お決まりの「夢オチ」です。

夢から覚めた件の描写も、過去ログで書いたように、「自分の手が毛むくじゃらじゃなくてホッとした」と書く前に「生きててよかった」とかじゃないですか?「あれ、窓から落ちたはずなのに、全然痛くないぞ…」「待てよ。開いた窓からオモテに飛び出たはずだよな…」などという感想がこぼれたり、「え、もとの私に戻っている、ということは、あの私が変身していた猫は一体?」と、猫に思いを馳せて、人間にもどった私が、まず窓の外を覗いて見るとかがあって、「そうか、夢だったんだ。でも、猫に感謝だな、だって…。」というような結び、pre-closing が欲しいところです。
「充電済みのスマホを手に取るために机に向かおうとして、思いとどまった」などという描写の前に、もうちょっとちゃんと設定や伏線を活かして書きましょうよ、と繰り返しておきます。

  • I stood up and, with a yawn, extended my arms above my head to stretch my back.

という描写がここにあることの意味をちょっと考えあぐねています。

第1段落での、

  • I stretched my arms in front of myself and raised my back; it felt so good.

とのコントラストを明確に打ち出して、「猫性;猫らしさ」との決別がなされている、と読むのが正解なのでしょうけれど、それじゃあ、夢から覚めるとともに消えてしまった猫とは入れ替われるはずがないわけで、「そもそも、あの猫はどこから来て、どこに行った設定なんだ?」ということになりませんか?

さあ、2年越しで、2017年の第5問の英文そのものを解説(&批評)してきたわけですが、巷の「センター試験過去問解説」ではどう扱われているのでしょうね?

「ナラティブマスター」を目指す私からすると、センター試験で「物語文」が復活し、今のところ、第5問で出続けていることは喜ばしいのですが、「ナラティブ」の指導も、私が使い続けている古いタイプのストーリーグラマーどころか、未だに「5W1H」をただ当てはめていく作業から脱しきれていないものが多いように思います。

入試過去問英文コーパスなどを作って、この第5問での使用頻度の高い語彙を調べる以前に、テクストとしてのつながりを生む、物語としてのまとまりを生む、もっとダイナミックで有機的な要因をこそ分析して欲しいものです。

本日はこの辺で。

本日のBGM: Hand in hand (Elvis Costello)
※この曲はオリジナルアルバムでは、冒頭にジャケットの写真を貼った、This year's Modelに収録されています。

「いつも本当に欲しいものが手に入れられない」

2017年本試験に続いて、2017年追試験の第4問にも触れておこうと思います。
例によって、解法講義ではありませんので、誤解無きようお願いしておきます。

問題文は、DNCの過去問アーカイブか、私のノートの写しをお読みいただければと思います。

2017年の本試験でも、原典となる雑誌掲載論文の「英文」に比べて、書き換えられたセンター試験の「英文」が、やさしくなった、わかりやすくなった訳ではないことを指摘しましたが、この追試験でも同様のことが言えます。

今回は、論文も、webで無料でダウンロードできますので、問題文を読む前でも後でもいいですから、比較されることを強くオススメします。

https://www.researchgate.net/publication/234134452_Presleep_Activities_and_Time_of_Sleep_Onset_in_Children

第1段落



17SP_4A_1.jpg 直

私は授業の準備で、毎度のように手書きしていくのですが、この文章は、第1段落の第1文を書いていて違和感がアリアリ。第2文でも解消されずに第2段落に進んでしまうところで「???」の三連符。

  • Much research has shown that lack of sleep causes problems for young people’s health and behavior, including poor concentration and academic performance.
  • Researchers have been interested in what young people do before bedtime, known as pre-sleep activities, and the different effects they have on the times at which young people go to sleep.


一読で、第1文の二つのandのペアの処理が気になりました。
“problems for young people's health and behavior” での、healthとbehaviorの並列、同列、横並び感、そして、 “including poor concentration and academic performance” の補足でのandのペアの支持している内容に「?」を感じるのではないかと思うのです。

えっ、感じませんか?そうですか。

「健康と行動の問題」とひと括りにして平気ですか?「健康」と「行動」ですよ。
「健康」で何をイメージしますか?私なら例えばこれ。
f:id:tmrowing:20181005121328j:plain

World Book Dictionaryから引いておきます。

health
1. the condition of being well or not sick; freedom from illness of any kind. Ex. Rest, sleep, exercise, and cleanliness are important to your health. Health alone is victory (Thomas Carlyle).

2. the general condition of body or mind. Ex. She is in poor health. He is in excellent health.
3. sound condition; well-being; welfare.

behavior
1. manner of behaving; way of acting; conduct; actions; acts. Ex. His sullen behavior showed that he was angry. The boat's behavior was perfect on the trial trip.
2. manners; deportment. Ex. behavior that is forced and artificial. (SYN) demeanor, bearing.
3a. the manner in which a living organism or a physical substance acts under specified circumstances, or in relation to other things.
b. the observable responses of persons or animals considered as subject matter for psychological study.

ここでのhealthが well-beingの意味で用いられているなら、まだその違和感は少しは薄れているかも知れないし、確かに「すもももももももものうち」ですから、mental healthもhealthだといえばそれまでですけど。

behaviorの「行動」に関しても、COBUILDにあるように、

  • You can refer to a typical and repeated way of behaving as a behavior.

という定義の、“typical and repeated” というところに、「症候群」的な意味を見いだせば、かなりhealthへは接近しますよ。でも…、というのが私の感想でした。

構文や表現でいえば、カマに続く、includingでの補足が、どこを受けるのか?言い換えれば、andの並列を超えて、problemsまで(problemsから)届くのか、ということが気になって仕方ありません。普通に(どこからどこまでが「普通」なのかを共有理解とするのは難しいですが)読めば、

  • health系の問題点と、behavior系の問題点が、この順番で具体化され、その一部が示される。

箇所ではないかと思うのです。

確かに、"poor academic performance" が、one of the problems for young people's behavior caused by lack of sleep の具体的記述になるだろうことは、高校生でも分かって欲しいところではあります。

しかしながら、受験生や高校生が、この部分を読んで、poor concentrationをone of the problems for young people's healthの具体例と実感することは容易でしょうか?今どきの高校生に「不定愁訴」って馴染みあるのかな?poor concentration であって、poorerではないので、ここを「変化」と読むのは「?」というのが、私の初読での感想でした。ここには、もっと端的な「健康被害」「健康障害」の例が示されてしかるべきで、ここに挙げられている「(結果としての)低い集中力」「(結果としての)学業不振」は、behaviorの側にしか対応しないのではないか、というのが私の読みでした。


ということで、ここまで読んできて、 poorよりは、lowerの方がいいような気もするし、healthの問題まで引き起こすのであれば、単なる「寝不足」ではなく、 “chronic lack of sleep” とかのことばを選択した方が良いような気もしてきます。

という具合に、いったん「比較」の頭になってしまうと、ここは、それなりに「研究成果」「調査報告」なので、「相関」と「因果」の話しになるのだろうから、比例関係で、比較級 and/but 比較級とか、the 比較級, the 比較級とかの出番で、「仮説」を提示し、例証するというところなのでは?という気もするのだけれど、このセンター試験の文章はあくまでもグラフ・図表のレポの体裁ですから。

因に、出典・原典である元論文の第1段落を見ると驚きますよ。
そこでは次のような表現を使っています。lack of ではなくinadequate 。形容詞(扱い)のandのペアの順序がセンターの英文とは逆。behavioral が先に来ていて、しかも problemsではなく、disturbances の具体例が豊富に列挙されているではないですか!
この原典の英文を読めば、確かに、behavior系から具体例が示され始め、最後は「肥満」といった健康面での問題点だな、と実感できるような例で終わっていることがわかりますから、includingの「効き目」があるといえるでしょう。

こちらが、原典の該当箇所です。

Inadequate sleep has been associated with a range of behavioral and health disturbances in young people, including poor concentration and academic performance, lack of coordination, increased aggression, hyperactivity, metabolic dysfunction, and obesity.

分かるように書いてありますよね?
でも、センター試験の英文では、このペアの導入の部分をhealthを先にbehaviorを後に、と逆にしたにもかかわらず、includingに続く、具体的問題事例の列挙の順序は原典の通りとしたために、その前の問題点の「支持」が出来ていない、つまり「つながり」が大きく損なわれているわけです。にもかかわらず、このincluding以下の部分を、「何かを受けた」ものとして意味を整合させて読むのは「ごまかし」以外の何ものでもないでしょう。

第1段落第1文のincludingが読めていない、読んでも違和感を覚えなかった高校生は、まだこれから学ぶチャンスがあるから良いのですけれど、市販されている「センター過去問解説」の執筆者で、ここが読めていないのはマズイのではないかと思います。もし,ここをスルーしているとすれば、結局一つ目のandのペア、並列で違和感を感じず、さらに二つ目のandのペアが何を支持しているかも読めていないということなのでは?という更なる疑問が浮かびます。

駿台さんとか、河合塾さんとか、教学社の赤本さんとかの市販本ではどう扱われているのでしょうか?

和訳だけ引用します。

『2019大学入試センター試験過去問題集 英語』(駿台文庫)、解答・解説 p.114

  • 睡眠不足は、集中力や学業成績の低下など、若者の健康と行動に対する問題を起すことを、多くの研究が示してきた。

『2019 大学入試センター試験 過去問レビュー 英語』(河合出版)、p.177

  • 睡眠不足が若者の健康と振る舞いに問題を引き起こしていることを多くの調査が示している。それには集中力不足と学業成績の不振が含まれている。

『2019年版 センター試験 過去問研究 英語』(教学社)、p.49

  • 睡眠不足は、集中力や学業成績の低下をはじめとして、若者の健康や行動に関する問題の原因となることが多くの研究で明らかになっている。

当然のことながら、私が授業で使っている教材にもこの部分に対応する和訳が載っています。
『2019年度用 大学入試センター 過去問題集 英語・筆記』(いいずな書店)、解答・解説、p.43

  • 睡眠不足が、集中力や学業成績の低下を含む若者の健康や素行の問題を引き起こすということを、多くの研究は明らかにしてきた。

溜息。

悩ましいと思いませんか?

原典では読めば分かるように書いてあるものを,設問を作らんと書き換えたがために「???」のオンパレードとなってしまったセンター試験の英文で,英語の出来不出来を評価され「入試選抜」が行われているわけです。そしてその後、その英文を「過去問演習」と称して授業や講義や学習で扱い、そこでは「わかったつもり」で通り過ぎていくのですよ。凄いところだと、生徒や受験生は、「復習では『音読せよ!』」とか言われているのではないかと不安は募ります。

この部分は「英文」でいえば、第1段落の冒頭部分。「書き手」の側から言わせてもらえば、話題から主題への切り口を作り、読者との共通基盤を確立する一番大事なところなのです。読解問題では「読み手」から、さらに「解き手」になりますから、その都合が優先されるとはいえ、設問に関係しないところには、時間もエネルギーも割かずに読み飛ばすような乱暴な作業を続けているのでは、「パラグラフライティング」どころか、「つながり」と「まとまり」のある英文を書くところまで、永遠に辿り着けないのではないかと危惧します。


前回のエントリーの最後で私はこう書きました。

ないものねだりでしょうか?
グラフや図表があって、その説明を分かりやすい英文で書いてしまうと、受験生を悩ませるような問題が出来ないんでしょうか?
ということで、生徒や受験生には無理でも、指導する側の人は原典がわかるものは、原典を読んでおくことも大事かな、と思いました。

繰り返すまでもないでしょう。

原典の英語ではthe declining sleep duration などの漸増漸減を表す現在分詞や、increased aggression; reduced total sleep timeなど、結果としての変化を先取りする過去分詞などが要所で使われていることがわかりますので、英語力のアップには有益かと思います。

ただ、表のpre-sleep 活動の上位から、なぜか活動が一つ抜かれていることに気付きますので、「試験」での英文の利用・流用はいろいろと問題を孕むなぁ、と実感します。

関係諸氏におかれましては、

  • より良い英語で、より良い英文
  • より良い英文で、より良い教材
  • より良い英文で、より良いテスト

を切にお願いします。

ということで、この後は、私の手書きノートの写しでもご覧下さい。

第2段落
17SP_4A_2.jpg 直
第3段落
17SP_4A_3.jpg 直
第4段落
17SP_4A_4.jpg 直
第5段落
17SP_4A_5.jpg 直
第6段落
17SP_4A_6.jpg 直

私の読み落とし、読み誤りがあれば、指摘していただければ幸いです。

本日のBGM: 99 Blues (7inch Version) / 佐野元春

with 6 months to go

早10月。
今年度は、猛暑で体育祭も中止になったので、私が担任をしている進学クラスの高3は、2学期唯一の大きな行事、文化祭でのバザーも終えて一段落。あと残すは進路実現のための取り組み。そう受験ですね。
既に、AO入試で合格を決めた者もいて、教室内の温度差もチラホラ出てくる頃ですが、「それぞれ、それなり」ですから、

  • できることだけを続けていくだけさ(inspired by 佐野元春)

ということですよ。

高3の授業での「センター試験」過去問を使った授業の様子をこちらのブログやツイッターで紹介してきましたが、先週今週と、筆記の第4問。所謂「図表・グラフ付き読解」を扱っています。

2017年の本試験で悩ましいところがあり、原典を確かめたかったのですが、ダウンロードは有料ということでツイッターでボヤきました。

原典はこちらの雑誌に載った論文の模様。
流石に、この原典を読むのにお金出してまでは買いませんけど。
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0169204614002370

それを見ていた(見かねた?)親切なW先生が、超多忙の合間を縫って光速対応でファイルを送って下さいました。本当にありがとうございました。

ということで、2017年第4問。センター試験の問題文に関しては、DNCのサイトで過去問ファイルをダウンロードするか、私の手書きノートの写しをご覧下さい。


17_4A_1.jpg 直

第1段落で主題の輪郭がはっきり出てくるわけですが、キーワードとなる、

  • childhood
  • children
  • adolescents

という語はきちんと整理しておいた方がいいと思います。ここでの adolescents「青年」というのは、通例、12歳〜18歳位の人をさすものですので、一般的な大学生は含まれない、裏返せば、日本の環境でいえば中高生に当たるのだ、という「実感」が大事でしょう。いってみれば、ここでも「単位は文化である」ということです。

論理展開、構成でいえば、ThereforeとThusでの因果関係を的確に掴むことが大事ですが、そのためには、その前後の文の文構造を的確に掴み、「読める」ことが求められます。

  • Physical activity in your childhood, such as playing sports and exercising, can greatly benefit your health when you are older.

での横綱の助動詞canの可能性と、比較級 (older)

  • Therefore, it is important to promote physical activity in childhood for one’s good health.

とりあえずのitの種明かしのto promote (原形)で、このpromoteという動詞自体に「比較級」のにおいを感じられるか。

  • The school yard is one place where children and adolescents can be encouraged to take part in physical activity.

関係副詞のwhereでの名詞句の限定表現と、その下線延長部分での、encourageの受け身。さらには、必修のイディオム、「活動に(積極的に)参加する」take part in。

  • Thus, knowing how schoolyards are used by students may give us some helpful ideas to promote their physical activity.

…ingでのワニ(所謂「動名詞」)とその腸内環境にあるhowのワニ。そして、そのhowのワニの腸内環境にあるto promote their physical activityの to原形を、ideasからの下線部延長(後置修飾)と読むか、目的を表す「どどいつ」と読むか。

という辺りが一般的なチェックポイントとなるでしょう。
ただ、私が気になるのは、第1文と第3文での 助動詞canでの「可能性」の示唆、と第4文でのmayの「可能性」の弱さでした。

第2段落は、基準時制が過去形で、調査結果が順々に述べられるところですから、「分類・定義」にしたがって、頭文字などのメモを取ることが有効でしょう。


17_4A_2.jpg 直

  • A study was conducted at four schools in Denmark in order to investigate how much different types of schoolyard areas were used and whether students were active or passive in these areas.

研究や調査を「する」という時の動詞の典型的なコロケーションでは、do; carry out; conductが必修でしょう。 investigate (= to examine a crime, problem, statement, etc. carefully to discover the truth) という動詞は、CEFRではB2レベルの動詞ですが、アカデミックな分野では超頻出語です。andのペアは、howでのワニと、whetherのワニであることは簡単に分かるでしょうが、”how much / different types of schoolyard areas were used” という意味のかたまりは一読で把握できたでしょうか?さらには、”whether students were active or passive” でも、本来はactiveかpassiveかの単純な二者択一ではなく、 その境目も含みグラデーションがあるということは分かりますね?

  • In the study, schoolyard areas were classified and defined by their primary characteristics.

general な情報提示から、specificな説明へという流れに乗れば大丈夫でしょう。この後に必ず、classify されたschoolyard areasが列挙されるはずです。

  • Grass represented playing fields and natural green lawn areas, often used for soccer, but without any marked lines or goals.

この、representは「代表する」という訳語で覚えている人が多いでしょう。
森保ジャパンは日本代表ですから、その代表チームの個々のメンバーをイメージできて、「嗚呼、確かにこのメンツは森保ジャパンだな」とわかれば、その訳語でも大丈夫だと思います。 A represents B(= A is equal to B) で「AとはBである」ときに使われます。ここでは、Aにラベル、Bには実態となる個々の要素や集団が来るわけです。この段落そのものが、各種areasの分類と定義を示すためにある段落なのですから分かりますね。「サッカーに使われることは多いけれど、(サッカー競技につきものの)ラインは引かれていないし、ゴールもない状態」にある、と補足しています。

  • Multi-court referred to fenced areas on various surfaces, like artificial grass and rubber, designed for tennis and other such ball games.

refer toでは、「言及する」という訳語で覚えている人が多いかと思いますが、この段落の列挙で使われているのですから、他の動詞(句)とのバランスを感じましょう。MW’sでは、“to have a direct connection or relationship to” とありますが、Cambridgeでは、”to talk or write about someone or something, especially in only a few words” とあります。普通は、「人」が端的に語るわけですが、ここでは、その主語のところに「ラベル」がきているわけです。

そして、途中の NaturalとPlaygroundは省略して、分類の最後へ急ぎます。

  • Solid surface described the areas with the hardest surfaces, like concrete.

このdescribeも、この第2段落の他の動詞と並べて意味を感じることが大事。describeの目的語に来ている名詞が具体的な描写・情景を表し、その描写・情景をsolid surfaceというラベル(=ことば)で表しているわけです。

最初の大きなハードルは、次のidentifyでしょうか。

  • These areas were identified by flat open spaces, often having numerous markings painted for games and benches set in different places.

このidentifyの語義は授業で使っている教材の解説では「認定する」と訳していて、完全に間違えていました。受け身になっているから、分かりにくいことは確かです。
A identify B で、Aには特徴や属性を表す名詞が、Bには本体・個体が来て、「Aなので、Bだと容易に分かる」という意味で用いられます。
Random House英和ではこの語義に対し、

His gruff voice quickly identified him.

という用例を示しています。
ケンブリッジでは、

Even the smallest baby can identify its mother by her voice.
A robin is easy to identify because of its red breast.

という用例。
COBUILD のAdvancedだと、第8版も最新の第9版も、

If a particular thing identifies someone or something, it makes them easy to recognize, by making them different in some way.

と定義づけ、次の用例をあげています。

She wore a little nurse's hat on her head to identify her.

能動態で示すなら、

  • Flat open spaces, often having numerous markings painted ... and benches set ..., identify these areas.

ということになります。挿入での often having ... の付帯状況での補足は、flat open spacesというかなり漠然とした複数形の名詞句に具体的なイメージを与えるためには必要なので、ここを省いて考えるのは、文構造を掴むためには有効かも知れませんが、やはり、その後で、この部分を付け加えて読むことが大事だと思います。

このidentifyの読みは、各種「過去問解説」ではどうなっているか、比べて見てもいいかも知れません。
教学社の『赤本』では、identifyの語句の注は無しで和訳を示していますが、文意は外していません。

河合塾の過去問レビューでは、identifyには「確認する/特定する」という注をつけ、和訳を示していて、ちょっと問題ありかな、と思います。

駿台では、和訳は適切でしたが、注は「be identified by ...『…によって確認 [認定] される』というもので、少々舌足らずという印象です。

ただ、このセンター試験の英文は原文を書き換えたがために、却って分かりにくくなったように思うので、各種「解説」の執筆者の頭を悩ませたのも無理からぬことです。

原文では次の通りなのですから。

This area type is characterized by level (flat) open areas, often with various painted markings for games and benches placed in different places.

こちらの方が、余程すっきりしてますよね?

だったら、はじめからこっちの英文を読ませればいいのに、と思います。

  • ないものねだりでしょうか?
  • グラフや図表があって、その説明を分かりやすい英文で書いてしまうと、受験生を悩ませるような問題が出来ないんでしょうか?

ということで、生徒や受験生には無理でも、指導する側の人は原典がわかるものは、原典を読んでおくことも大事かな、と思いました。第2段落に該当する箇所のみ、原典から引用します。詳しくは原典の論文をお読み下さい。

Each area type was categorized by its primary characteristic. Grass represents various play fields and lawn areas, often used for soccer but without any markings or goals. Multi-court represents framed play areas on surfaces like artificial grass, rubber, concrete pavers or asphalt designed for different ballgames like basketball and soccer. Solid surface represents all paved areas with surfaces like asphalt or concrete pavers. This area type is characterized by level (flat) open areas, often with various painted markings for games and benches placed in different places. Natural represents areas with shrubs, trees, natural stones, etc. Playground represents areas with playground equipment such as swings, slides and climbing frames, typically grouped and placed on surfaces like sand or gravel. The few areas that could not be categorized into one of these five groups were assigned to the area type other, which for instance contains shelters and pent roofs.

ここから先は、私の手書きノートのメモ書き、解説の写しをダウンロードしてお読み下さい。

第3段落
17_4A_3.jpg 直

第4段落
17_4A_4.jpg 直

第5段落
17_4A_5.jpg 直

第6段落
17_4A_6.jpg 直

本日はこの辺で。


本日のBGM: Chasing Rainbow (佐野元春)

論理と表現

前回のエントリーではセンター試験の第3問の「不要文選択」を取り上げていましたが、最近の出題では、まだ解説をしていなかった、現在のセンター試験の筆記では、第3問のCで出題されている「ディスカッションもどき」問題を取り上げておきましょう。

この出題そのものは比較的古くから出題されていますが、この出題に関しては、このブログでも随分しつこく「ダメ出し」をしてきました。

まずは、この出題に初めて言及した11年前。

http://tmrowing.hatenablog.com/entry/20071121
センター試験の「議論の司会者が要約する」読解問題と同じ視点で分析できるから、そのつもりで。もっとも、センター試験の出題では、なぜディスカッションなのに、リスニングでやらずに読解問題でやっているのか?

そして、6年前。

http://tmrowing.hatenablog.com/entry/20120116
まず、登場人物は4人だけれど、設問が3カ所しかないので、通常は持論を展開するのは3人。司会者がいた場合に、「議題」を整理し、参加者には何が求められているか、というセッティングをするためには、議論の冒頭で5,6行分くらいの英語をつらつらと喋る必要があるかもしれないので、そこは目をつぶる。
議題が明確になったところで、参加者が意見を述べるとして、通常は、

  • 賛成
  • 反対
  • 条件付きで賛成
  • 条件付きで反対
  • 態度保留

くらいのスタンスが考えられる。最後の態度保留は、まとめたり言い換えたりするのが難しいから、稀。議題の条件設定の根底からひっくり返す「そもそも」論はまずない。とすれば、だいたい、上記の4つ目までがどのように出てくるか注意して読んで行けばよい。
ところが、センター試験ではいきなり、長文で意見をぶち上げる人が出てくるので、心の準備を。
演説じゃないのだから、自分の意見を切り出したり、質問したり、という「自然な」議論のオープニングでは、一人が5,6行分、50語とか80語とかもまくし立てることはまずない。そんなに長いこと喋られても、最初に何を言っていたか忘れてしまうこともあるので、必ず、発言内容の確認で綱引き、キャッチボールが必要になる。発言内容をまとめる際に、

  • こういう理解でOKか?

というやりとりがある。しかも通常は、このやりとり一回でお互いの摺り合わせが終わることは稀。
Aさんの意見に、Bさんが同意したとしても、それ以外の人がどう感じているのかは、聞いてみないとわからない。そこが、司会者の役割。でも、たいていの場合、「言い換え」たり、「要約」したりしたあと、そのオリジナルの発言をした人は、それに「同意する」形で、きわめて都合良く議論は進んでいく。

  • いや、そうは言っていない。私の意図は△△。

という綱引きの末、

  • ああ、なるほどね。私は○○というところだけを考えてしまったわけだ。××という条件を踏まえれば、△△という結論になるね。

などという落ち着き先をみることはセンター試験では稀。
最初に確認した、4つのスタンスは明確だけれど、自分の意見に対するまとめやコメントに対して、反論したり、修正を求めたりはしない。
という、「センターならでは」のお約束に慣れておかないと、英語の運用力があればあるほど、不自然さが鼻について解答に集中できなくなる。

それ以外にも、何回か取り上げていますが、現在のセンター試験では、

  • リスニングでも意見を交わして、議論する出題がなされるようになった。
  • 筆記では、議論の登場人物が倍増した。

という特筆すべき変化が起こりました。歓迎すべきことではあるでしょう。
その登場人物倍増で話題となった、2017年の本試験に続く、2017年追試験では、さらなる形式の変化が見られました。

  • 発言者本人による要約

です。
不要文選択に比べると、全体の英文量が多いので、英文全体に関しては、DNCが提供しているファイルか、私の手書きノートのコピーをご参照下さい。

DNC過去問 (2017年追試・筆記・問題のみ)
https://www.dnc.ac.jp/albums/abm.php?f=abm00009649.pdf&n=%E7%AD%86%E8%A8%98.pdf

f:id:tmrowing:20180924113229j:plain
17sp_dis_1.jpg 直
17sp_dis_2.jpg 直
17sp_dis_3.jpg 直
17sp_dis_4jpg.jpg 直
17sp_dis_5.jpg 直


「アメリカの大学の授業でのやりとり」という設定ですが、私はBecker教授のこの発言にまず引っかかりました。この点について、受験界隈での解説ではどのように扱われているのでしょうか?予備校の中の人とか出版社の中の人とか、もっと突っ込んでDNCの中の人、分かる範囲で教えて下さい。

This is our first class since you all finished your eight-week-long farm work experiences throughout Washington State.

「農場での体験実習」の期間が8週間。約2ヶ月です。常識的に考えると、農場での主たる活動は春から秋でしょうから、その間の2ヶ月を大学を離れて過ごしやすい時期となれば、年度 (= school year) の合間である、7月、8月ではないかと思うのです。でも、そうすると、学年が上がるのに、同じ授業が続くことになります。どういう大学、学部、専攻の教授&学生なのでしょうか?

体験報告の口火を切るのは Melanie。

I was interested in traditional farming, and I thought many of the methods might be very useful in modern commercial farming, too. So, I chose a farm that adopted ways of farming once used in the region.

ここでのキーワードは、traditional(昔ながらの)とmodern(今、現代の)、methodsとwaysですが、そこがキーワードだとわかるのは、ここまでが読めているからです。
基準時制は過去形ですが、 and I thought の内容と、tooの意味のつながりを実感するのは結構大変です。

  • 私は昔ながらの農業に興味があり、多くの伝統的手法は現代の商業的農業にも同様に、とても役に立つかも知れないと思っていました。それで、私は、かつてこの地域で用いられていた手法をいろいろ採用しているある農場を選んだのです。

という日本語訳を読んで、何と何がどのように「同様」なのか?が一読了解な高校生は少ないのではないかと思います。
ここで読み取るべきは、「伝統農法と現代農法の二者択一ではない」ということですが、それでも、tooでの論理はどうなっているのか、悩むことでしょう。

何しろ、 “… and I thought … might …, too.” ですから。
せっかく主張、意見を述べるところなのに、その中身で、「そうかもしれないし、そうではないかもしれない」という助動詞の mayやmightを使っている場合には、その話しは、「話半分」で聞いておかないといけません。時制の一致で、that節中の may がスライドしてmight になっている場合でも同じことです。これが、持論の支持、理由付けのところにmay / mightが来ていたりすると、もう目も当てられません。
文法問題や語法問題では、ドヤ顔で助動詞mayの解説をする講師も、読解問題や、ライティングの問題の解説では、あまり的確に捌いてくれないことが多いんですよね。

本題に戻って、ここで並列されるべき内容は、

  • A: 伝統的手法は、伝統農業で役に立つ(立ってきた) (=常識;歴史)
  • B: 伝統的手法は、現代農業で役に立つ(かもしれない) (=仮説;可能性)

ということでしょうが、Aの内容は直接書かれていないのです。

それに続いて、自分の仮説を確かめるべく、実習先を選択したことが述べられます。

  • a farm that adopted ways of farming once used in the region

での、関係代名詞thatでの後置修飾の中の usedという –ed/en形による後置修飾を適切に読めるかどうか。
関係代名詞 that の後の、adopted は過去形ですが、これは「採用していた」という、実習時よりも上流に遡るのではなく、メインの動詞のchoseが過去形であり、それに合わせて過去形を使っていると考えるべきでしょう。「その時点で、伝統的手法を “採用している” 農場を “選んだ“」ということです。
さらには、“ways” の無冠詞複数形と、 in the region の捉え方にも注意が必要です。ここは、具体的に例を挙げてくれると嬉しいところだなぁ、と思ったら、次の文では、現在時制で、この農場のポリシーのようなものが語られます。理解の助けになるといいですね。繰り返しますが、ここから現在時制です。

The workers there don’t use any artificial chemicals. They plant various crops together in a field, rather than planting only one.

「その農場で働く人たちは化学合成肥料などを一切使わない。一つの畑にひとつの穀物だけを植えるのではなく、多様な穀物を同時に植える。」
“any” は「ゼロでなければ何でもアリ」ですから、その否定の “not any” で残るのは「ゼロ」だけ。 A rather than B では、Bは却下でAを選択でした。
この文の基準時制が現在時制ですから、「昔の話ではなくて、今、こういう手法を使っている」という、”ways of farming once used in the region” をリアルに感じさせる効果がありますね。

  • かつてこの地域では使われていたけれども、今ではやらなくなってしまった農法のいくつかを、この農場では今(も)使っている。

という理解が求められるところです。

その農場のポリシーの背景は?と思って先を読んでも、明示はされません。

I didn’t really know planting multiple crops would help prevent plant diseases, decrease the number of harmful insects, and maintain the quality of the soil.

Melanieにはよく分かっていなかった内容として、「同じ畑に複数の穀物を一緒に植える」ことの効果・目論見が述べられています。
know に続く目的語は、本来ことがらを表すワニ (= that節)ですが、ここではthatは使われていません。問題は、ワニの腸内環境の整備です。

  • A would help B 「AはBにきっと役立つだろう」

で、Aに planting multiple crops ということがらのワニ(=動名詞)、Bの help には動詞の原形が続いていますから、「…するのに役立つ」という意味になります。
ここまでをまず確認です。

  • 「複数の穀物を植えることが、きっと…するのに役立つだろう」

では、何をすることに役立つのか?という並列・列挙を一つ一つナンバリングでもしながら確かめます。

  • 1. plant diseases
  • 2. decrease the number of harmful insects

and

  • 3. maintain the quality of the soil

1. でdiseaseは疾病や症状の軽重には差こそあれ、明らかにマイナス評価の名詞です。
2. でinsectsには、善玉もいれば悪玉もいます(し、どちらでもないものもいます)から、この名詞に harmfulとつくことで「害虫」であることが分かります。
3. maintain=維持する、the quality of the soil = その(畑;農場の)土壌の質、ですから「その土壌の質を維持する」という日本語約は容易いでしょうが、では、「土壌(の質)を維持する」とは、どういうことでしょうか?私の授業では、折りに触れ「反意語を援用した語義の理解」を求めていますが、ここでは、「土地の質を維持できないと、どう変化するのか?」という内容を考えてから、それをひっくり返せばいいでしょう。まず、すぐ思いつくのが「劣化」でしょう。では、どのような状態を「劣化」とみなすのか?

  • 土地が痩せて、栄養分が(足り)なくなる。作物が、以前よりも実をつけなくなる。

などということでしょう。ですから、それをひっくり返して、

  • 土地がやせ細らないようにする = 土壌の質を維持する

とメモして、先に進みます。

最初の高いハードルが来ました。

At the same time, I was surprised that workers on this small farm were using very modern technology. For example, …. In short, ….

“at the same time” は「それと同時に;その一方で」という並列や対照を示すときに用いられるつなぎのどどいつ表現です。World Book Dictionaryの定義を引くと、

  • while saying this; however; nevertheless

となっています。

ここでは、“I was surprised ….” と言っているので、これよりも前に、何かに対して “surprised” だったと言えるような内容があったかを確認しておくことが大事でしょう。

「昔ながらの農法に、様々な効果があるとはあまりよくは知らなかった」というところで、少なからず驚いていてくれないと、この “at the same time” が活きてきませんね。ただ、この前までの「農場・農法」の記述はエピソードでありながら、現在時制を用いて書かれていて、この "didn't really know" から、また過去形に移っているので、分かりにくかったのではないかと心配します。

驚いた理由・原因としては、“workers on this small farm were using very modern technology” 「この小さな農場で働く人たちは、すごく今風の技術を使っていました」とあります。
英語の流儀は、generalな情報提示からspecificな例証へですから、このあとに具体的な体験談で詳述されるはずです。

では、For exampleに続く具体例、と最後の自分語りでの要約へ進みましょう。

  • they used computers to decide when to supply water to their fields.

「彼らは、コンピューターを使って、いつ畑に水を与えるのかを決めていた。」

ここでの3つの toの違いは大丈夫ですね?私の手書きノートの記号付けを写真で確認して下さい。

最初の to decideは、どうして?という「どどいつ」で目的を表す to 原形 (= 不定詞)。
二つ目の to supply も不定詞ですが、ここは、wh- + to 原形でワニ(=名詞句)。ワニの腸内環境で、何に、どこにsupplyするのか、を表す前置詞+名詞で to their fields となっています。

ここまでの、Melanieの体験談を before / afterで整理すると、

  • 実習前のMelanie本人の目論見 = 伝統農法を現代農法に活かしてがっちり!
  • 実際の農場体験実習での驚き = 伝統農法だけじゃなく現代のテクノロジーも活用

とでもなるでしょうから、 “In short, these farmers were ….” での要約は、
(they were)

  • 1. integrating older and newer farming techniques

「旧新の技法を統合している;古い手法と新しい技術を一緒に使っていた」

を読んだ瞬間に正解だと判断できると思います。 確認のために、これ以降の選択肢も読んでおきましょう。

  • 2. spraying artificial chemicals according to the schedule

「決められた予定に応じて化学合成物質を散布していた」
体験談冒頭の “they don’t use any …” に矛盾。

  • 3. updating and developing advanced computer software

「先進のコンピューターソフトの更新と開発をしていた」
「コンピュータを活用している」記述はありましたが、このようなコンピュータの開発そのものへの言及はありません。

  • 4. using insects to protect crops from harmful diseases

「害のある病気から穀物を守るために、昆虫を使っていた」
「害虫から穀物を守る」ことへの言及はありましたが、それとて、「効果のほどは知らなかった」という感想でした。さらには、いくらダミーの選択肢を作るとはいえ、 “harmful diseases” って、いう名詞の形容が果てしなくセンスがない。 “disease” とか “damage” というものは、そもそもマイナスの評価を表すことばでしょうに。 “harmful influence” とか “harmful effect” というならまだわかりますよ。「ホントにもう!」って感じです。

ということで、Melanieの発言は終わり。
このようにMelanieの一人がたり&要約による、最初の農場実習体験談発表の締めくくりを受けての、Becker教授の反応があまりにそっけないので、この二人の人間関係がちょっと心配になります。

Thank you, Melanie. That’s interesting. Who’d like to speak next? Eric?

同じような感想がいくつも続いた、とかではないんですよ。
Becker教授が「体験談をいくつか皆でシェアしようね」というから、Melanieが口火を切って発言してくれたというのに、Melanieの体験談を受けて、その体験した内容とか教訓とかの異同を他の誰かに振るとか、司会役としての何の芸も配慮もなく、「では次に喋りたい人?エリックは?」ですからね。

でも、まあ、私が一貫して「もどき」と読んでいるのは、こういう部分があるからこそなのでね。その「もどき」という意味では、クオリティは満たされていますね。


ここまででも、A4で7ページくらい書いていますので、今日はこの辺りで終わりにしようと思います。
もう一度、Melanieの発言に戻って、読み直しをして復習するのもいいでしょう。
助動詞の mightの「そうかもしれないしそうじゃないかもしれない」という可能性の表現を「意見の表明や持論の裏付けに使う危うさ」に関しては、確実に復習しておいて欲しいと思います。

だって、考えても見て下さい(= after all)、

  • このディスカッションもどきの解説の続きは、日を改めて書くかも知れないし、書かないかも知れません

とあったときに、読み手はその続きを期待して待ち続けますか?

ということで、この続きは書くかも知れないし書かないかも知れませんので、冒頭に貼った画像ファイルだけでもご確認下さいますようお願いします。

高校の新学習指導要領では、「論理・表現」などという科目が新設されるそうですが、今日のエントリーで私が述べたようなことは、どの程度扱われるんでしょうか?

本日のBGM: 誰も気にしちゃいない(佐野元春)

松尾レミは梶芽衣子に声が似ている

過去2回のエントリーで、センター試験の「不要文選択」問題を取り上げ、「英語学習」にどう活かすか、を書いてきました。

この出題が始まった2014 年の下線部の引き方には、稚拙なものも見られました。

Odd Ones Out あるいは The best is yet to come.
http://tmrowing.hatenablog.com/entry/20140119

そこから出題を重ねて早5年。ある程度の水準で「つながり」と「まとまり」の理解を問うことには成功していると思います。

しかしながら、2016年の追試、第3問Bの3番の「英文」は看過できないものだったので、この素材文を取り上げて、この「不要文選択」問題の解説に一区切りつけようと思います。「追試」の問題は、新しい出題形式の「観測気球」としての位置づけでやり過ごしてはいけない、きちんと批評すべきである、と再認識させられた次第です。

まずは、当該の素材文です。

People can show courage in dangerous situations.
For example, someone pulling an injured person out of a crashed car after an accident is considered brave.
However, people do not need to be in dangerous situations to show courage; they can do it in any type of situation.
I will give you the example of my friend Sophie.

  • (1) Even though she was afraid of flying, she boarded a plane for the first time to see her parents.
  • (2) She knew that her parents had never flown even though they were not afraid of flying.
  • (3) Her fear was based on her belief that such a big and heavy machine should not be able to fly in the air.
  • (4) Before getting on the plane, she was shaking with fear, but she overcame that feeling.

I think that Sophie getting on the plane was as courageous as someone taking a risk to help at the scene of a traffic accident.

私の手書きノートの、記号づけをする前の段階のものをこちらに載せておきます。


[file:tmrowing:2016_SP_3B3_org.jpg]

第1文。People / situationsと無冠詞・複数形名詞で一般論での導入です。

  • People can show courage in dangerous situations.

とじカッコを横綱の助動詞 canの左に付けていますか? Showという現在時制での事実や断定ではなく、can show と「可能性」を表しています。Canの可能性はmay nor may notの「そうかも知れないし、そうかもしれない;表裏一体」 とは違います。肯定のcanは「ないことはない」と常に、プラスの可能性であることに注意しましょう。

「人はだれでも危険な場面では勇気を示すことができる;勇気を示すことがある」

第2文の冒頭は、

  • For example,

とありますが、「たとえば」という日本語に置き換えて分かったつもりになるのは危険です。確かに「例示」の目印なのですが、これは、第1文での何を具体化しているのでしょうか?

「読み手の誰でも危険と分かる状況」が取り上げられ、「ごく普通の人が、その危険を顧みず行動をする」ことを「勇気を示す」例とするのではないか、と考えられるでしょう。

  • someone pulling an injured person out of a crashed car after an accident is considered brave.

この文を左から右へと一読で(私の授業であれば「L板のスライド」)理解できましたか?

someoneが主語で、四角化で pullingを見たところで下線延長の後置修飾で「引っ張る人」です。では、「いつ何をどのように引っ張るのか?」が、先程の予想に合致するか読み進めます。ここでも四角化が大事です。
“pull(ing) an injured person out of a crashed car” で四角化されるのは、an の目印で単数形の名詞を探してperson、 aの目印から単数形の名詞を探して car、少なくとも、四角化ができる人は、「pull 人 out of 車」という理解ができる筈ですから、それをsomeoneの下線延長に当てはめておきます。「車から人を引っ張り出す誰か」となります。このように、手がかりを作って分かったところ、見えたところまでを振り返って眺め直すことは大事なのです。
では、after以降の「どどいつ」や、今飛ばして読んできた、injuredやcrashed では当然、「危険」に関わる情報が述べられていることになりませんか?

injuredは本来、「負傷させる;怪我をさせる」という意味の動詞 injureの-ed/en形由来で「負傷した;怪我をした」という意味の形容詞。crashedは「グシャッという大きな音がするように激しくぶつかり原形をとどめない」という意味の動詞crashの –ed/en形由来の形容詞で「衝突してつぶれた;壊れた」という意味です。何をどうしたら、自動車は「つぶれて原形をとどめない」状態になるか? “after an accident” 「交通事故の後で」ですね。ここまで、気の遠くなるくらい長い下線がsomeoneから延長していました。

その後に続く、is considered braveは「be動詞、時制が決まればとじカッコ」という合言葉でしたから、主語は単数形の名詞。英語が苦手な人も、もう直前の accidentが主語だとは思いませんねよ?someoneが主語ですから、is が小結の助動詞で、受け身。付き人はconsiderの-ed/en形で considered、「どのような人だと考えられるのか?」にあたる評価や描写の形容詞がbraveですから、「…な誰かはbraveだと考えられます」という具体化・個別化ができたことになります。受け身(受動態)ではなく、元の形(能動態)であれば、”You + consider + …な誰か +(to be/as) brave.”となっているところです。

ここまでが主題の提示でしょうか?
第3文の「つなぎ語」がHowever で譲歩・対照ですから、

  • A However, B

という大きな流れで見れば、Bの方に重点、焦点があることになります。

  • People do not need to be in dangerous situations to show courage;

「人は勇気を示すのに、必ずしも危険な場面にいる必要はない」

なんと、筆者は自分で、「火事場では人は勇気を出せるものだよ」と話題を振っておいて、「卓袱台返し」がきました。

“do not need to 原形” は「…する/…である必要はない」という「不必要;必然性はない」という表現です。“don’t have to原形” を既に知っている人はそれとほぼ同じ意味だと思っていいでしょう。
“to show courage” は、直前の situationsからの下線延長ではなく、「目的を表す『どどいつ』」のto 原形で「…するために」という意味です。

「卓袱台返し」のままでは、主題が提示されないまま、話が終わりますから、次の;(セミコロン)に着目して下さい。
「否定があれば、それに取って代わる肯定のサポートを続ける」という英語の流儀で、このセミコロンのあとで、「じゃあ、勇気を示す場面ってどんなものなのか?」が示される合図です。

  • they can do it in any type of situation.

「人は、どんなタイプ(類型)の場面でも、それができる」
とあります。ここでの、do it (=それをする)というのは、show courageを、typeというのは、「類型」で、「危険な」とか「安全な」などと、場面に貼る「ラベル」のことと考えればいいでしょう。「火事場だけではなく、どんな場面でも勇気は出せるもの」「どんなときでも発揮できる勇気」という主題が提示されたことになります。余白に「槇原敬之」「マッキー!」とかメモをしておくといいかもしれません。

こうして読んでくると、次に筆者が述べるのは、「恐怖を感じるとか、危険が迫っているということがない場面で、勇気を発揮できた例」であろうと予想できます。

で下線部に入る前の第4文。

  • I will give you the example of my friend Sophie.

「私の友人であるソフィーの、その例をここで示そうと思います」
the example というのは、他でもない、

  • 火事場だけではない、どんな場面でも勇気を発揮できた典型例

だということです。
横綱の助動詞willは「その場のその気」、付き人で原形になっている動詞 giveは「キャッチボールをする」動詞ですから、先にキャッチャー役のyouが座っていて構えているので、ボールの働きをする、the exampleを投げ込める、という並べ方です。意味順とそのスロットの役割との両方を覚えていきましょう。

では下線部1へ。

  • (1) Even though she was afraid of flying, she boarded a plane for the first time to see her parents.

ギャップを埋めるevenがついた譲歩の接続詞even thoughに続いて前提が示され、切れ目があって、メインの主語+動詞へと続きます。
Even though A, B を(×)「けれども(しかしながら)AでありB」と読むのは大間違いです。
(○) Even though A, B. で 「Aではあるけれども、それでもB」という意味のつながりであることに注意して下さい。
「どどいつ」の働きをする接続詞の仲間は「ホワイトボードシリーズ」の、「副詞節マッチアップ」で集中的に扱いました。

“she was afraid of flying” で「ソフィーは飛行機で飛ぶ(=飛行機に乗る)のが怖かった」という「事実」が述べられ、そういう人が普通とるであろう、言動やその心理とはギャップのある言動や心理が、メインの主語+動詞で述べられます。 “she boarded a plane for the first time” 「彼女は初めて搭乗した」と、淡々とした過去形の事実で “board = to get on a plane” と書かれています。この「初挑戦」が「勇気を示す行為」の一例、ということなのでしょうか?状況をもう少し知りたいものですが、この後には、 “to see her parents (=両親に会うために)” としか書かれていません。

下線部2はどうでしょう?

  • (2) She knew that her parents had never flown even though they were not afraid of flying.

「彼女は、両親は飛行機が怖くはないのだが、それでも今まで一度も飛行機に乗ったことがないと知っていた」

とあります。
ワニ使い動詞のknowの過去形 knewは「知っていた;分かっていた」という状態であって、「気がついた」という変化ではないので注意して下さい。that以下のワニの腸内環境は大丈夫ですか?「○ンコ漏らすな、○ロ吐くな」が合言葉でしたね。今度は、C even though D で、「Cでした、確かにDではあるんですけど」という「怖くないなら乗ればいいのに、未体験」ということです。ここでの、ソフィーの両親の例は、「どんなときでも発揮できるソフィーの勇気」の例でしょうか?ソフィーの例でもないし、そもそも勇気が発揮されていませんね。

では、下線部3。

  • (3) Her fear was based on her belief that such a big and heavy machine should not be able to fly in the air.

「彼女の恐怖は、彼女の『こんなに大きくて重たい機械が空を飛べるわけがない』という思い込みに基づいていた」

“her fear” はどこから出てきたのでしょうか?下線部1の “she was afraid of flying” ですから、つながりましたね。
“A is based on B(= AはBに基づく;BがあるからAがある” で「恐怖の原因」を述べています。
“her belief that 主語+動詞” のthatは「同格」を表すものですが、それよりも、

  • she believed that such a big and heavy machine should not ….

という文を名詞化したものだと考える方が後々のためになると思います。

believe that 節でのbelieveは「…であると強く思う;…だ、と考える」という意味であって、日本語の「信ずる」という表現とは完全には重ならないので注意が必要です。エッセイだけでなく、日常でも “I strongly believe that ….” で、「私は…だと思います」、と自分の意見を取り立てて述べることはよくあります。SNSのtwitterの検索窓に、“I strongly believe that” を引用符ごと入れて見ると、たくさん出てくるのではないかな、と思います。

“such a big and heavy machine” のandのペアは、どちらも簡単な形容詞ですから問題ないと思いますが、もし、such a 1 and 2 machine で、1か2のどちらかが分からない語の場合は、「旅客機を形容するのだから…」と、どちらかを頼りに推測することは可能です。でも、1も2も分からないと苦戦を強いられますから、語彙は豊富にあるに越したことはありません。
横綱の助動詞 should は「(強い)推量」で「…のはずである」という意味。ここでは、否定で、さらに付き人には “be able to原形”がきているので、「できる筈がない」となります。あくまでも「主観」です。

最後の下線部4。

  • (4) Before getting on the plane, she was shaking with fear, but she overcame that feeling.

「搭乗前にソフィーは恐怖で震えていたが、彼女はその感情を乗り越えた」

「ソフィーの勇気を示した一例」であることは分かりますよね?
Beforeはここでは前置詞扱いで、get on the plane(飛行機に乗る;搭乗する)のgetは動名詞(=ワニ)に形合わせ。
“she was shaking with fear” の前置詞 withは感情や身体反応の原因を表すもの。「怖くて震えていた」ということです。乗る前は怖かったんですよ。
“but she overcame that feeling” のbutの逆接、対照は大丈夫ですね?
動詞overcome が分からないと、このbutの対照を手がかりに推測するしかありません。「ソフィーは乗る前は怖かったけれど、その感情を…した」の空所には何が入るでしょうか?
“overcome” は動詞で文字通り「乗り越える;克服する」です。

そして、文章(段落)の締めくくりの一文。

  • I think that Sophie getting on the plane was as courageous as someone taking a risk to help at the scene of a traffic accident.

「私は、飛行機に乗ったソフィーは、交通事故現場で救助のために危険をかえりみなかった人に負けず劣らず勇気があったと思うのです」

筆者の主観、個人的見解です。筆者の友人の例で主題を支持していましたから、その伏線を回収するところ。
ワニ使い動詞のthink に続く、that節は、腸内環境を丁寧に見ていく必要があります。
“Sophie was as courageous as someone.” で、A was as 形容詞 as Bという、大まかな構造をつかめる人は、既に結構英語は読めるようになっている人でしょう。

  • A = Sophie getting on the plane
  • B = someone taking a risk to help at the scene of a traffic accident

のように、構造を捉まえる場合に、気になるのは、Sophieという固有名詞に続くgetting on the planeと、不特定の代名詞であるsomeoneに続く taking a risk をどのように扱うか、また同列に扱っていいものか?という部分ですね。

A であれば、意味上の主語つき動名詞として、「ソフィーが飛行機に乗ること (または「乗ったこと」」と考えるか、gettingを後置修飾と見て、「ソフィーという同一人物、ひとりの人間を指しているが、その一人の中でも、場面によって異なる特質が現れている」ことを表現している、とでも考えるしかないでしょう。
もし後者の解釈に立つなら、

  • 飛行機に乗るという勇気を出したソフィーとそうではないソフィーがいる

ということになりますね。

Bも、意味上の主語つき動名詞と考えるか、後置修飾と考えるか。

代名詞が格変化を示してくれていれば、動名詞の意味上の主語は分かりやすいことが多いのですが、主語の位置に、意味上の主語つきの動名詞のかたまりが来る時は、意味上の主語でも目的格にはならないので、やはり、可能性をひとつひとつ確認するしかないでしょう。

As 形容詞 as は「同等比較」と言われることもあるので、誤解を生じやすいのですが、「負けず劣らず」というよりも、「まさるとも劣らない」という日本語表現の方がぴったり来ることが多いです。
“take a risk to原形” は「危険を冒す;覚悟して…する」という意味の表現で、of –ingが続くことが多いのですが、ここでは to原形が来ていますので、このto helpは「目的」または「結果」と読むのがいいように思います。
“at the scene” の atは「直面」を表す前置詞で、「交通事故現場に直面して」ということです。

さて、こうして、ちょっと違和感、引っ掛かりを感じながらも、最後まで読み進めて来ました。えっ?違和感はなかった?そうですか?

私の手書きノートの、記号付けをしたものをこちらに貼ります。


[file:tmrowing:2016_SP_3B3.jpg]

完成英文を通してみるとこうなります。

People can show courage in dangerous situations. For example, someone pulling an injured person out of a crashed car after an accident is considered brave. However, people do not need to be in dangerous situations to show courage; they can do it in any type of situation. I will give you the example of my friend Sophie. Even though she was afraid of flying, she boarded a plane for the first time to see her parents. Her fear was based on her belief that such a big and heavy machine should not be able to fly in the air. Before getting on the plane, she was shaking with fear, but she overcame that feeling. I think that Sophie getting on the plane was as courageous as someone taking a risk to help at the scene of a traffic accident.
(139 words)

ここで、キーワードとなっていた、いくつかの語義を整理しておきましょう。
定義は全て、米国の教育界で定評のあるWorld Book Dictionaryのもの、和訳は私のものです。

  • courage = bravery; meeting danger without fear(勇敢さ;恐れを持たず危険に直面する)
  • dangerous = likely to cause harm; not safe; risky(害を及ぼす可能性のある;安全ではない;危険を伴った)
  • brave = without fear; having courage; showing courage(恐れを持たない;勇気を持った;勇気を示すような)

同じ意味の核を共有していることがわかりますね。

この定義の中で、たびたび出てくる、名詞 ”fear” の語義は大丈夫ですか?

  • fear = the emotion or condition of being afraid; feeling that danger or evil is near(不安な感情またはその状況;危険や邪悪さが近くに存在するという感情)


私の違和感は、これら、冒頭の下線部に入る前に読み取ったキーワードと、下線部1での「飛行機に乗るのが怖いソフィー」というエピソードに起因していました。
先程、示した「定義」を見て下さい。
ソフィーが「飛行機が怖い」理由は、「そんな大きくて重い機械が飛べるわけないでしょ!」という思い込みであったことが書かれていました。
なぜ、「飛べるわけがない乗り物に乗るのが怖いのか」といえば、それは、「飛べないと事故になる(可能性がある)」ということで、「そこに潜在的な危険を感じるから、危険がすぐそこに迫っていると思い込むから」ではありませんか?

少なくともソフィーにとっては、「飛行機に乗ること」は、

  • potential danger; potentially dangerous

なのであって、彼女にとっては、 “risky” な行為、 “an act of taking a risk” だったはずです。

これは、冒頭で筆者のあげた、「人が勇気を示す場面」で、

  • in dangerous situations である必要はない
  • in any type of situationでもできる

をサポートするのに、最適な例だと言えるでしょうか?

確かに、筆者は “any”と言っていますので、そこに、dangerousな状況が含まれていても、「嘘」ではありませんし、 “do not need to be in …” で「不必要」とだけ言っていたわけですから、dangerousな状況にあっても、「嘘」をついたことにはなりません。

しかしながら、However でコントラストを作り、セミコロンで焦点化してまで示した、

  • People can show courage in any type of situation.

という主題を支持するのですから、もう少し、any type of situationsの例を選んだ方が良かったのではないかと思うわけです。

「こういう場面で、○○したとしても、死ぬかも知れないとか、大けがするかも知れない、とか、もう生きていけない、とかそういうことはないでしょ、そんなときに、あなたが思い切って○○する、それも立派に勇気を示すことになるんですよ」
という例は、日常の色々な場面に潜んでいて、何かの拍子に顔を覗かせると思うのです。

電車に乗っていて、困った人に席を譲るとか、dangerous situationsではなく、an embarrassing situation でのちょっとした勇気の一例など、any を具体化できる、他の事例、ネタはいくつもあっただろうに、と思わざるを得ません。今回の素材文は、通して読み返したり、繰り返し復習する、教育的意義をあまり感じませんでした。

ということで、この文章の反省点は、最大のキーワードである、“courage” の語義の吟味の甘さにあったのでは、という指摘をして解説を終わろうと思います。

本日のBGM: 吹き抜く風のように(GLIM SPANKY)

※追記:2023年3月13日 画像リンク等修正

Rebuilding Foundation

前回の「2017年本試験、第3問Bの1」に続いて、2017年追試から、第3問Bの3を解説してみます。

前回の解説でも、一つ一つ読み進めて、その都度判断し、全体像を構築、修正していましたが、今回もほぼ同じやり方です。ただ、前回は、個々の表現や所謂構文の日英比較で取り上げるべきところ、例えば「無生物(ことがら)主語が他動詞をとる文で、主語を条件設定と読み替え、副詞的に処理する」などということは、後回しにするつもりで言及していませんでしたが、今回は、必要なところには解説を多めに付け加えようと思います。

では問題文です。

Some people do not like to throw things away and may feel a sense of comfort by keeping them well ordered and ready for use.
When Kenta’s grandmother asked him to help clean her house before New Year’s Day, he found a lot of old stuff of no value to anyone else.

  • (1) She had kept all of the wrapping paper she had received, which was neatly folded, along with nice ribbons.
  • (2) There were pill containers stuffed with spare buttons as well as small pieces of thread and string wrapped around strips of paper.
  • (3) There were rare collector’s items that she was going to sell to make money for charity.
  • (4) All these things were well organized and made ready for use whenever she might need them.

However, she realized no one would use them, not even herself.
So, Kenta and his grandmother decided to throw them all away.

論説文や解説文よりも、エピソードに近いナラティブの色が濃い文章ですが、それは、この文章が読める人だからわかることです。それを裏返せば、

  • あ、今回の英文は何かエピソードを通じて主題を伝えようとしているんだな。

ということがわかった人はかなり英語のセンスがあるということです。

第1文

  • Some people do not like to throw things away and may feel a sense of comfort by keeping them well ordered and ready for use.

本当に分かっているか?を日本語訳で確かめるのが難しい、some+複数名詞とandでのペアの理解です。
ここでの some peopleは(X)「何人かの人」、(X)「数人」という意味ではなく、全体から漠然と部分を取り出す表現です。allに対するsome。「中には…な人もいます」というような日本語に相当します。英語のどこにも「いる、いない」という表現がないじゃないか、と思う人がいるかもしれません。
日本語では「数量表現は存在を表す文で右へ行くと安心する」ということをちょっとメモしておいて下さい。

Someという部分を取り出す表現で少し「絞られて」はいますが、とじカッコは “do not like” と平幕の助動詞 do が使われていますから、事実で断定です。
“throw away” は「不要なものを捨てる」。北海道の私の田舎では「投げる」といいます。

「好きではない人もいる」→  何を?「捨てること」を、という部分までは現在形で断言ですから反論は受け付けない、一般論での入り方です。でも、「捨てられない;捨てたくない」人にも、その背景にはいろいろあるでしょうから、同じ主語に続くandの並列で may feel と横綱の助動詞 mayが来ていることに注意が必要です。この2つを天秤ばかりに乗せて釣り合いをとる、というのは、ちょっと違うかな、という感じです。
“and may feel a sense of comfort”
の部分は、横綱の助動詞 may ですから筆者の主観です。

may = may not で表裏一体ですから、「その人たちは感じているかもしれませんし、感じていないかもしれません」と、その前の「断言」と違って一歩引いています。feelの目的語の “sense of comfort” は「安心感;心地よさ」でしょうか?「癒し;慰め」?それだとあまり積極的なプラスの価値が見いだせませんね。comfort という語は発音と強勢も要注意ですが、ここでは名詞であるということで、「品詞」を押さえておきましょう。英英辞典で定義を見ても、今一つピンとこないものです。

  • comfort = a pleasant feeling of being relaxed and free from pain (Cambridge)

不可算名詞として使われているくせに、英英辞典で定義を見ると、 a pleasant feeling で可算名詞のfeeling が使われていたりすると、全然 “a sense of comfort” を得られないような気もします。

World Book Dictionary で引いてみると、

1a. anything that makes trouble or sorrow easier to bear; consolation.
Ex. The news that their missing son was well brought great comfort to his parents.
b. the feeling of relief or consolation.

と出ています。「安心感;心地よさ」で浮上する前に、どこか沈んでいる状況が必要だということですね。
では、どのようにして、その「沈んだあと浮き上がる安心感;心地よさ」を得るのか?
手段を表す前置詞の by+名詞のかたまり(ここではkeeping以下のワニ)です。ここでのkeepは日本語の「キープする」よりは、もう少し射程が広く、 “keep A + B” で、「AをBの状態にしておく」と、Bのところに何が来ているのか、まで気をつける必要があります。
でも、英語が苦手な人は、themの後がごちゃごちゃして「戦意喪失」のようなことが多々あるのでしょう。少なくとも、A = themまでをつかめれば、「捨てられないので、取っておくことで、心地よさ、安心感を得ているのかもしれません」という最低限の意味は理解できるでしょう。
Bに来ているのは、Aがどんな状態なのか?という情報ですから、“well ordered and ready for use” でのand の並列をきちんと読む必要があります。andは確かにペアを表すのですが、ここでは well ordered 「きちんと整理された」状態にあるからこそ、ready for use 「使用の備えができている」わけです。このような因果関係を含む and の使い方に注意して下さい。

“(well) ordered” の意味がすぐに実感できる高校生はあまり多くない(←これが「存在文での数量表現」ですよ)かもしれません。この語のもとになっている、基本語であり、多義でもあるorderの実感がつかめていないことが多いのかな、と思います。

類義語でのneatなどを確認してneat = tidy; with everything in its place (Cambridge)で分かる人は、もう既にかなり英語ができる人でしょう。
私の授業ではよく「反意語を援用した語義の理解」といいますが、

  • untidy = messy

ですから、not messy ≒ tidy ≒ orderedというように反意語・対義語を考えてみて、それをひっくり返して戻ってくると、もとのことばの立ち位置が少し見えてくる、という頭の働かせ方も語彙を定着させるための一手として覚えておいて欲しいと思っています。

ready for use での形容詞readyは物理的・心理的に準備ができている様子を表します。前置詞for は何に備えるのか?という目的です。ここでは文字通りの「用途・使途」である、 use という名詞が来ています。名詞のuseのs は濁点(゛)のつかない子音ですので間違えないように。

こうして読んでくると、comfortはそんなに大層なプラスの意味とも言えないな、という感じがしてきます。話題と主題を整理すると、「物を捨てるのが嫌だという人も実際にいる。捨てたくないから、きちんと整理してとっておいて、後々使えるようにしておくのだ、と『気休め』を得ているのかもしれない」とでもなるでしょうか。

ようやく第2文です。

  • When Kenta’s grandmother asked him to help clean her house before New Year’s Day, he found a lot of old stuff of no value to anyone else.

第1文の一般論に続いて、第2文では、個別のエピソードが出てきました。
筆者の用意した「主題」に照らして読み進めます。その主題を、このエピソードでどう示して、理解してもらおうとしているのかを理解できれば、この続きが読めたことになるでしょう。

「ケンタのおばあさんが物を捨てられない人で、その捨てられないのは、きちんと整理して、使用に備えることで気休めを得ているからかも」というような展開が予想されます。

A ask B to C(=原形) で「AがBに頼んでCしてもらう」ですから、「おばあちゃん(= A)がケンタ(= B)に手伝って(= C)くれと頼んだ」ことがわかります。では、to原形になっているCのhelp の語法で、目的語の部分に、動詞の原形(= clean) が来ているところに注意して下さい。helpの意味がまさに「助ける」なので、助動詞と同じように、原形をとることができます。英語があまり得意でない人にとっては、見慣れない、気持ち悪い単語の並び方だと思いますが、helpという動詞は特別なのだ、と思っておいて下さい。「家を掃除するのを手伝う;手伝って一緒に家の掃除をする」ということです。

D before E で、過去から現在、そして未来へと流れる時間の中で、どちらがより上流で、どちらがより下流に位置しているのか、日本語訳だけでなく、図示するなどして明確にしておきましょう。New Year’s Day は新年の日、つまり元日ですから、その前というと、大晦日以前になります。ですから、ここでのbefore New Year’s Day は「年末に;年の瀬に」ということになります。日本の大掃除は元日の前、大晦日までに終わらせますね?

大掃除の結果、he found 「ケンタは見つけた」とあります。a lot of old stuff of no value の、of …value は<前置詞+(抽象度の高い)名詞>で、形容詞の働きをするものです。四角化ドリル (その21) では集中的に扱っていましたね?

四角化ドリル 21
前置詞+名詞=形容詞.png 直

of value で「価値がある」。ここでは、no がついていますからで「ゼロの価値がある」、つまり「価値がない」ということです。形容詞のvaluelessとほぼ同じ意味ですが、名詞に対して後置修飾ができる、という利点があります。
誰にとっての価値か?というところが重要です。
“anyone else” と、“else” がついています。誰を基準に「他の誰にも価値がない」と言っているのでしょうか?そう、ケンタのおばあちゃんですね。


下線部1を読んでみましょう。

  • (1) She had kept all of the wrapping paper she had received, which was neatly folded, along with nice ribbons.

Sheは当然、ケンタのおばあちゃんです。大関の過去形のhad と-ed/en形の付き人でkeptと過去完了になっています。このエピソードの基準時は、「年末(たぶん大晦日)の大掃除」で過去形ですから、それ以前。過去の基準から更に上流へとさかのぼるので過去完了です。
“all of the wrapping paper” のallに意味があります。「例外なく全部」ということです。どのような「包装紙」かというと、the (wrapping) paper she had receivedの部分が、<名詞1(=paper)+名詞2(=she)+とじかっこ(=had received)+足跡>の名詞のかたまり(=接触節)で、「おばあちゃんがそれまでにもらっていた紙」となります。ここでのwrapping は動名詞で「用途・目的・機能」などを表すものであって、所謂「現在分詞」ではありません。日本語でも既にカタカナ語で「ラッピングペーパー」として使われているでしょう。
was folded だけでなく、neatlyというどどいつ(=副詞)が使われていることが重要です。このneatlyがあることで、「雑な保存の仕方ではなく、きちんときれいに折りたたまれて保存されていた」という、おばあちゃんの “well ordered” 具合の支持がなされているわけです。
文型至上主義の指導者に「副詞は取り除いて骨組みをつかまえろ」と教わった人がいるかもしれませんが、副詞は文の福祉係でもあるのです。きめ細かく、きちんと世話を焼いてくれていたりするので、副詞の存在と役割に感謝こそすれ、乱暴に扱うのはオススメしません。

, which は関係代名詞で「継続用法」とか「非制限用法」などと呼ばれることがありますが、その前の四角化された名詞を代入して右へと引っ張っていく、というのが普段の授業で教えている手順です。悩みどころとしては、その四角化され、代入すべき名詞が、「人」か「もの」か「ことがら」か?というのは意味がよりよく整合するかどうかで決まるということです。

この文の最後は、, に続く、“along with nice ribbons” です。along with …は「…と一緒に」という意味で、2語合わせて前置詞の働きをしている、と考えていいでしょう。問題は、「何とnice ribbonsが一緒なのか?」がすぐにつかめたか、です。niceというプラス評価の形容詞と相性のいい「プラス評価のことば」、ribbon(s)という名詞と相性のいい「もの」を探せば、「きれいに折り畳まれた包装紙」であることがわかりますね。なぜ、包装紙だけでなく、リボンと一緒にとってあるのでしょう? もう一つのキーワード、ready for use「用途」を考えてみて下さい。リボンはどういうときに使いますか?そう、「貰い物」を裏返せば、「贈り物」ですから、「すぐ使えるように取っておく」という主題に合致していますね。

この文の過去完了形は、進行形との合体ではなく、大関単独での単純な完了形でした。単純形は、基本が「成果・積み重ね・繰り返し」の「ドヤ顔」ですから、おばあちゃん本人から見れば、「ドヤっ!こんなにきれいに、きちんと折りたたんで、全部とってあるよ!包装紙だけじゃなく、その包みにかけてあったリボンもあるんだよ!」というところ。「ドヤ顔」はしている者本人には快感なのでしょう?sense of comfort のバリエーションの表現と考えられなくもないですね。

下線部2へ進みます。

  • (2) There were pill containers stuffed with spare buttons as well as small pieces of thread and string wrapped around strips of paper.

ここでは、A as well as Bの添加を読み取れたか、が重要です。
There were と始まったので、複数の名詞が続くことはわかるでしょう。まずは、pill containers 「薬の錠剤入れ;容器」が無冠詞複数形で。A contain B で「AはBを含む」という意味となるcontainに-erをつけて名詞化したものです。日本語のカタカナ語の「コンテナー」とは発音も強勢の位置も違うので気をつけて下さい。
containersに続く、stuffed はstuffという動詞の-ed/ed形です。containersから下線延長の後置修飾の目印で「詰め込まれた容器」となります。では、何が詰められているのか?素材・材料を表す前置詞のwithの後には、spare buttons (=予備のボタン)とあります。
次のas well as が考えどころです。“small pieces of thread and string” を、「錠剤入れ」に入れてしまって、(X)「糸や紐と同様に予備のボタンも詰められた錠剤入れ」と読むのは完全な誤読、間違った読みです。そういう読みをしてしまう人は、stuffedを完全に無視しています。

  • stuff = fill something until it is full

ですから、pill containersは予備ボタンで既にfullな状態になっていて、他のものを入れる余地はありません。
ここでのA as well as B の添加は、

  • A= 錠剤入れ(複数形)
  • B= 糸と紐の束(複数形)

となります。
後半のBを詳しく見ておきましょう。small pieces of thread and string では、threadもstring も不可算名詞扱いで、「素材」として捉えていることがわかります。計量化の単位とでもいう数量詞が、pieceです。とはいえ、形状は細長いものですから、small は「短い」という日本語の方がわかりやすいでしょう。
thread and string という名詞から、下線延長での後置修飾でwrapped という-ed/en形が続いています。保存のために、後々に使うために「…に巻きつけられた」ということですから、strips of paper というのは、「巻き付けやすくて、使うときに取り外しやすい」形状をしていると考えられます。正方形よりは長方形に近いもので、肉や野菜の「千切り」までいかなくてもいいのですが、「短冊」のようなイメージでしょうか。ここでも、おばあちゃんの “well ordered” な様子が見て取れます。

下線部3を見てみましょう。

  • (3) There were rare collector’s items that she was going to sell to make money for charity.

下線部2と同様に、There were で始まる文です。しかしながら、情報の添加を示す tooとかalsoとかの表現はありません。単純な並列とするには、今度は「レア物」があったというのですが、

  • rare = not seen or found very often ( LDOCE)

ですから、これまでに述べられた、包装紙やリボン、ボタンや糸や紐などの日用品とのギャップを示す表現が何かほしいところです。collector’s items「コレクターズアイテム」はもう、カタカナ語でかなり使われていますね。「(そのジャンルの収集家が)収集する価値のある高価な品物」です。このcollector’s items という名詞の意味に既に「高価な」という意味が含まれていることに注意して下さい。TV番組の『…鑑定団』を見たことのある人は、少し実感が増すかもしれません。
thatは関係代名詞で、後置修飾。items that she was going to sellで、「おばあちゃんが売ろうと思っていた品物」。原形のsellの直後が足跡です。
最後のto make money for charity のto make(= 原形) は、「『どうして』売ろうと思っていたのか?」「売って『どうしよう』と思っていたのか?」という「どどいつ」で、理由や目的を表すと考えればいいでしょう。
make moneyは「お金を作る;お金を稼ぐ」という意味です。造幣局で仕事をしたり、偽造したりするわけではないので注意して下さい。
ということで、この文の意味は、「おばあちゃんが慈善のために使うお金を稼ぐために後々は売ろうと思っていたレア物の高価な収集品もありました」となります。

では、この文の主題との合致はどうでしょうか?
「お宝」は、他のものとは場所を分けてとっておくものでしょうから、ある意味、おばあちゃんの “well ordered” さの一端と言えるかもしれませんが、「慈善のためにお金を出す」ために、「レアで高価な収集品を売りに出す」という行為に備えることが “ready for use” に当たるか、というと微妙でしょう。限りなく黒に近いです。そもそも、「出品して売れるお宝」であるなら、冒頭の "old stuff of no value to anyone else" という記述に矛盾します。


最後の下線部4で確認です。下線部3が微妙だとすると、この下線部4は、下線部2と密接につながり、さらに、この次の文とつながることになります。

  • (4) All these things were well organized and made ready for use whenever she might need them.

「これらのものはすべてきちんと整理されおばあちゃんがそれらを必要とするかも知れいときにはいつでも使えるように用意されていた」

この文章(段落)の冒頭にあった、

  • keeping them well ordered and ready for use

という表現の、orderedがorganizedに代わり、wheneverで「使途」が明確に述べられているという違いがありますが、主題の個別化という点では合致しているようにも思えます。基準時は大掃除にとりかかった過去の時点ですから、この文の時制の過去形も問題ありません。でも、何かひっかかりますね。


この下線部4に続く文の内容とのつながりです。ここから先の記述は、全て正しい、主題を支持するのに必要不可欠な情報です。

  • However, she realized no one would use them, not even herself.

Howeverの譲歩・対照で、その前とのコントラストを示すわけですが、
“she realized” 「おばあちゃんは気がついた」と、「ワニ使い動詞」のrealizeが使われていますから、この後、「大掃除を終えてのおばあちゃんの気付き」の内容が「文」の形で述べられます。

“no one would use them” 「誰もそれらを使わないだろう」という表現は、第2文にあった、

  • a lot of old stuff of no value to anyone else

に対応しているように思えますが、先程の文の続きにある、“not even herself” 「お婆ちゃん自身でさえ(使わ)ない」という部分に注意して下さい。

とすると、「おばあちゃん自身が、流石に自分でも使わないだろう」といっているのですから、下線部4の記述で、“were made ready for use whenever she might need them” という部分と矛盾しないのでしょうか?

下線部4では、助動詞のmight が使われていたことを確認して下さい。
そうです。mayであっても、mightであっても、might or might not の表裏一体は同じです。「(必要ないかも知れないけど)必要になるかも知れないから」という気持ちの表れです。

そうすると、先程の文の、Howeverは何と何のコントラストなのでしょう?
“might vs. would” で、可能性に対しての断定です。“However, she realized no one would use them, not even herself.” での、realizedの過去形は「分かっている」という状態ではなく、「分かった」という「変化」を表すものと読むべきだったことになります。

「使うかも知れないと思っていたけど、あらためて見てみると、ぜったい使わないだろう(と気付いた)」ということで、より正確に言えば、

  • However, she came to realize (that) no one would

とでもなるでしょう。

このようにして読めば、下線部4が残り、下線部3は消えることになります。

最後の文で締めくくりです。

  • So, Kenta and his grandmother decided to throw them all away.

「それで、ケンタとおばあちゃんは、それらを全部/すっかり捨ててしまうことにした」

“decide to 原形” は、自分に選択・判断・決定できる内容に使うので気をつけて下さい。「その気になればできること」とでも覚えておくといいでしょう。
でも、ケンタのおばあちゃんの場合は、一大決心ですね。

throw them all away のall は悩ましい語です。
代名詞で目的語のthemと同格と考えるか、副詞でawayの強調と考えるか。
「駅で南口の改札から出ても、東口の改札から出ても、国道に面した大通りに出られるので、結果オーライ」ということもありますが、全く反対側の出口にでることもありますので。

でも、

  • 「いつ悩むの?後でしょ!」

で、あとで辞書を引いて確認しておくことにしましょう。

さあ、これで、下線部3を除いた英文が完成したことになります。

段落形式で、全文通しての読み直しです。

Some people do not like to throw things away and may feel a sense of comfort by keeping them well ordered and ready for use. When Kenta’s grandmother asked him to help clean her house before New Year’s Day, he found a lot of old stuff of no value to anyone else. She had kept all of the wrapping paper she had received, which was neatly folded, along with nice ribbons. There were pill containers stuffed with spare buttons as well as small pieces of thread and string wrapped around strips of paper. All these things were well organized and made ready for use whenever she might need them. However, she realized no one would use them, not even herself. So, Kenta and his grandmother decided to throw them all away. (131 words)

私の授業用のノートには、各種記号がそれぞれの文の、あれにもこれにも、「これでもか!」というくらいについています。当然、私が自分で英文を読むときには、記号づけはしていません。授業の準備のために書き込むわけですが、記号づけの前の段階で、手書きで本文を写しています。

学習者が、この英文を読むときに、どこでわからなくなっているのか?どこを読み落とすのか?読み飛ばすのか?どこを読み間違えるのか?また、どの部分の読みを間違っていないと思い続けてどんどん、違う道を進んでしまうのか?

最初は、そういうことを想定し、手がかり足がかりを残しておいたほうがいい場所はどこかな?という「アタリをつける」ために手書きしています。


2017-sp-3B3-org.jpg 直

その後で、再度、道路そのものをチェックし、通るべき道筋を示す標識や地図、案内板などを整備するために、記号を付け、語義を書き込んでいきます。このような教師からの補助がなくてもスラスラ読める人は、記号に頼らずともいいでしょう。でも、そういう人であっても、悩みどころ、躓きどころは時々(しばしば?)訪れます。そのときに、自力で手がかりを作れるか?そういう観点で、簡単に思える英文であっても、メンテナンスをしておくことに意味はあります。四角化も、番付表も、いつの日か使わなくて済む日が来ることでしょう。でも、それは、英語の基礎力がついて、独り立ちできるようになった、ということであって、それまでに使ってきた記号の類が「誰にとっても価値のない古臭いガラクタ」ということではありません。

  • 基礎とは、あなたがどこにいても、どこに行っても、あなたの足元であなたを支えてくれる何かのことです。

本日はこの辺で。

本日のBGM: アイスタンドアローン(GLIM SPANKY)

書き手の筆、書き手の声

高3の進学クラスは流石に夏期課外講座から引き続き、「センター試験」の過去問を扱っています。とはいえ、私の授業なので、解法を伝授する、というよりは「ここまで読めるから答えが一つに決まる」というアプローチです。

訳読を忌避する人たちは昔も今も数多いますが、その人たちが訳読に代わるどのような細部の正確な読みを伝授してくれたかというと、甚だ心もとない「スキミング」だの「スキャニング」だのという、上滑りの top-topでいつまでも、bottomに辿り着かない、腑に落ちない、落ち着かない作業だったりします。

私の教室では、「速読」が求められるとか、「情報処理としての読解」が必要とかいうノイズには耳を貸さず、地道にはじめから順番に読んでいき、読めたところから全体像を構築し、更に読み進めて、自分がそこまでに描いた全体像を加筆修正していく、というようなまどろっこしい営みを求めています。わかるようになるまでは、かなり面倒で退屈です。自分で読めるようになるまでは、かなりつ(ま)ら(な)いです。

今週は、現在の第3問のBで出題されている、「不要文選択」問題。正確には、不要文を除くことで、パラグラフ内の文と文の「つながり」を強め、それぞれの文が主題の成立に貢献し収束する「まとまり」をより高める、ことを求める出題です。
私は、この「不要文選択」問題を、単なる「読解問題」とは捉えず、センター試験型の「多肢選択」による解答を求める試験における「ライティングの代替」問題として捉えて、授業準備をしていますが、それでも、多くの高校生にとっては、まず「読むこと」に困難を多く抱えることでしょうから、授業で扱った英文をもとに、問題の解法というよりも、「読むこと」を基盤とした英語学習、英語力の向上のための取り組みとして、ブログで再現、解説したいと思います。

ツイッターで一部、私の手書きノートの写真がアップされていたかと思いますが、当該の英文に対応して、そちらも再録しますので、併せてご覧下さい。

f:id:tmrowing:20180909104641j:plain
17R-3B-1.jpg 直

では、まずこちらから。

2017年本試験3B-1

Wearing proper shoes can reduce problems with your feet.
Here are some important points to think about in order to choose the right shoes.

  • (1) Make sure the insole, the inner bottom part of the shoe, is made of material which absorbs the impact on your foot when walking.
  • (2) The upper part of the shoe should be made of breathable material such as leather or cloth.
  • (3) Some brand-name leather shoes are famous because of their fashionable designs.
  • (4) When you try on shoes, pay attention not only to their length but also to their depth and width.

Wearing the right shoes lets you enjoy walking with fewer problems.

まず、段落冒頭の下線部に移るまでの英文で「話題」と「主題」を掴むことが必要です。大事じゃなくて「必要」。英語が苦手な人の多くが、分かるところだけを摘み食いして、「話題」だけで引っ張っていき頓挫しています。

それでは、第1文。

  • Wearing proper shoes can reduce problems with your feet.

「適切な靴を履くことが足の問題を減らすことを可能にする。」

まずここで「話題」が提示されています。キーワードとなる、「靴」「問題」「足」がみな複数形であり、theがついていないことに注意して下さい。「無冠詞・複数・一般論」です。ここでの your は目の前のあなた、ではなく、誰にでも当てはまる一般論として使われています。(ここで、「読者」に向けられたyourとして意味を読んで「あなたの足」と理解しても、致命傷にはならないでしょうが、それが致命傷にならないとわかるのは、この英文が読めている人の判断です。)

ここでの主語は、wearingから始まる動名詞、つまり「ことがら」であって、shoesという「もの」ではない、ということがわかるかどうかは、結構大きな英語力ですが、そこで躓く人も、動名詞がわからないというよりは、ここで出てくる “proper” という形容詞を知らない、自分の守備範囲にない、というケースが多いように思います。文法がわからないまま読むのは交通ルールを知らずに車を走らせるようなものですが、語彙がない状態ではまず車が走ってくれません。どちらもきちんと学ぶ必要があります。文法については後でまた詳しく述べますが、ここでは語彙を。

properは「適切な、ふさわしい」という意味の形容詞です。『エースクラウン英和』では、CEFR-Jのランクで、A2という必修語扱いですが、CEFR本家とも言えるCambridge系の辞書ではB1表示なのです。

  • real, satisfactory, suitable, or correct

と定義されています。
World Book Dictionaryでは、

  • right for the occasion; fitting

という定義がなされています。英語が分かる人は、この段階で、「正しい」「ぴったり」という実感をもって読み進めることになります。

続いて、第2文。

  • Here are some important points to think about in order to choose the right shoes.

「正しい靴を選ぶために、考えるべき重要な点がいくつかある。」

ここで「主題」が提示されています。「重要な点」「考える」「選ぶ」「正しい靴」というキーワードを並べ、それを結びつけて日本語で、今の和訳のような理解ができる人は、もう既に英語が得意な人でしょう。

some important pointsの核になるpointsを四角化し、その右のto thinkを見たときに、そこから下線を延長してto原形で形合わせをする後置修飾だと分かるかどうか。
前置詞のaboutのあとに、前置詞のinが続いていて、気持ち悪い人がいるかもしれませんが、in は、"in order to 原形" のinで、aboutの直後が足跡です。そこには本来、四角化したpointsがいた跡なので、ルール違反にはなりません。このような大きな名詞のかたまりをつかめるかが重要です。
in order to 原形と単純なto原形との違いは「名詞でも形容詞でもなく、どどいつ(=副詞)ですよ」という目印、「結果ではなく目的ですよ」という目印です。

第1文の、properを受けて、ここでは、 the right shoes という表現を使っています。「履く前には選ぶ」ことが必要なので、「正しい靴を選ぶために」、いくつかのポイントを押さえるわけです。ここで「話題」が靴だからといって、rightが靴の右足の方だと勘違いしている人はいませんか?shoesと複数形であることも確認して下さい。ここは誤解を与えないためには、“the right pair of shoes” とでも書くべきところですね。

  • right = suitable or appropriate for a particular purpose, situation, or person (MW’s Learners)

という定義を見ると、英語のわかっている人は、「その靴を履く人にとってぴったりの;ふさわしい」という理解でこの先へと進むことがわかってもらえると思います。

ということで、ここから下線部祭りになりますが、この先の記述は、ここまでで明らかになった主題、

  • 選択するためのいくつかの要点を押さえ適切な靴を履くことが足に付随する問題を減らすことを可能にする。

を支持する、貢献する内容である必要があります。「不要文選択」という設問にはなっていますが、「足の問題に関連している?」「適切さに言及している?」「靴を選ぶ際の選択肢になっている?」などという判断のものさしを手元において、読み進めて下さい。

下線部の1,

  • (1) Make sure the insole, the inner bottom part of the shoe, is made of material which absorbs the impact on your foot when walking.

make sure は、英語が得意ではない人には酷な表現です。ここでは、thatの省略された節(私の授業では、その中にとじカッコのある「ワニ」)が来ています。
(?)「確かめる」というような日本語で覚えていると、後ろにthat節が続いているのに、あたかもwh-節や、if節であるかのように読んでしまい、多くの場面で誤読に繋がります。make sureの場合は、「確かめ」てもいいんですが、最終的に「そうなっていないとだめ」です。「確実に、ちゃんと…であるようにする」ということです。この文では、「the insole (靴の中敷き)がちゃんとした素材でできている」ものを「選んで履け」ということで主題に貢献します。

今、私が使った「ちゃんとしている」という表現は、主題のキーワードである proper, rightに合致するものですが、「どのようにちゃんとしているか?」が本文で適切に書かれているかを読み取ることが求められています。当然、主題のキーワード「足の問題(になりそうなこと)が軽減される」ような記述が予想されます。

“the insole(=中敷き)の直後に ,(=カマ) が来て、the inner bottom part of the shoe(=靴の底の内側の部分) という同格での言い換え(注釈)が来ていることに気づかないと、「ちゃんとした」に関わる要素が複数あると思ってしまいますが、2つ目の カマ の後の be動詞が、is ですから、主語は単数でないとおかしい、という抑止弁が働きます。
ただ、ここでは、同格の言い換え(注釈)がわかりにくいので、我慢のしどころでしょうか。
“is made of material which absorbs the impact …” は手がかりを作りながら順番に進んだほうがいいかもしれません。
まずは、小結の助動詞isでの受け身で、付き人の-ed/en形が、 made 。 A is made of B で、「AはBで作られている」という意味ですから、B = materialで中敷きの素材を例にとっています。では、どのような素材なのか?で「ちゃんと足の問題を軽減する」という記述になるはずですから(もしならなければ、この文は不適切ということです)、“material which absorbs the impact on your foot” の関係代名詞whichでの下線延長(=後置修飾)を辿って、absorb(=吸収する)という動詞を見たときに、「…を吸収する素材」という「もの」の確認をすることが大事です。そこから、absorb の目的語に来ている the impact on your foot の名詞+前置詞+名詞のひとかたまりが、「あなたの足への衝撃」=「足に付随する問題」の例だという理解ができることが望まれます。「四角化ドリル」の生きるところです。では、その「衝撃」はいつ起こるのか?当然、靴を履く場面なのですから、ここでのwhen walking は「歩く時」という理解でいいでしょう。whenが接続詞で、主語+be動詞となる “you are” の省略、と考えてもいいと思います。この場合は実際に歩く際の衝撃ですから。

  • 「衝撃を吸収する素材でできた中敷き」のある靴を選んで履くことで「(歩行時の足への衝撃という)足に付随する問題」を軽減できる。」

という内容で、主題に合致しています。

ここまでの名詞が単数形であることが気になる人がいるかも知れません。基本的に市販の靴では、右足と左足の構造や機能に差はないと考えれば、わざわざ複数形で「一揃い」にするまでもないことがわかるだろうと思います。

次に、下線部2です。

  • (2) The upper part of the shoe should be made of breathable material such as leather or cloth.

「靴のアッパーの部分は、天然皮革やキャンバスなどの通気性のある素材でできている方がいい」

ここでも「素材」の話ですが、部位・場所が違います。
the upper part of the shoe (靴底に対する、靴の上の部分。足のつま先から甲にかけての部分)の素材を取り上げています。第1文がmake sureだったのに対して、ここでは、
“should be made of …” と主張を表す横綱の助動詞 should が来ています。第1文と同様、この文も主題に合致するとすれば、「足に付随する問題とその軽減」に関わる記述となるはずです。
“breathable material” 「呼吸可能な素材」って何でしょう?裏返して、「呼吸不能な素材」とは?ここでは、靴の素材ですから、「通気性のある素材かどうか?」を取り上げています。「通気性がない」ことによって「足に生じる問題」って何でしょうか?
そう、「ムレ」ですね。「水虫」などの菌の増殖がすぐに思いつくでしょうが、これは本文には直接書いてありませんので、悩んだ人もいるかも知れません。
具体例としては、 “such as leather or cloth” 「天然皮革や生地(布地)」とあります。「革」や「キャンバス」ということですね。

続いて、下線部3。

  • (3) Some brand-name leather shoes are famous because of their fashionable designs.

今、下線部の2で「革靴」の話が出てきましたが、ここでは「革靴の中にはおしゃれなデザインで有名になっているものもある」と言っています。「名声とその理由」です。
主題は何だったか、を忘れないでください。「適切な靴の選択着用による足に付随する問題の軽減」だったはずですから、この下線部3は「不適切」な内容となります。
この下線部の記述が、もし主題に貢献するとすれば、この後に「名声」「ファッション性」によって起因する「足に生じる何らかの問題」が述べられなければだめです。例えば「靴の中にはデザインやファッション性を重視しているが、耐久性のない素材で作られているものがあり、そういう靴を長く着用すると、より早く足が疲労し障害を生む可能性がある」などという内容が続かなければならないでしょう。では、続きを読んでみましょう。

選択肢では最後となる下線部の4です。

  • (4) When you try on shoes, pay attention not only to their length but also to their depth and width.

「あなたが靴の試し履きをするときは、長さだけではなく、深さや幅にも注意しなさい」
“try on A” は、「Aを試しに着用してみる;試着する」。この場合は靴ですから「試しに履いてみる;試し履きする」ということです。下線部3を支持する内容にはなっていませんね。
“pay attention to …” で「…に注意する;気をつける」は大丈夫でしょうか?ここでは、私の授業でよく言う「だけじゃないTEIJIN」の、“not only B but also C and D” で、「BだけでなくCやDも」という情報の足し算がありますので、

  • their length は、既に筆者と読者で共有していることや一般常識、前提
  • their depth とwidthは、筆者が強調したいこと

を踏まえた上で、主題との合致を確認して下さい。靴を選ぶ際の sizeの一般常識は「長さ(=length)」ですね。

主題は「足に付随する問題」と「正しい靴の選択・着用」ですから、

  • length
  • depth
  • width

がそれぞれ、どのように「問題」になり、靴の選択によってそれが解消するのかを考えておきましょう。
それぞれの名詞の元になる形容詞はわかりますか?

  • long 長い
  • deep 深い
  • wide 広い

では、その対義語・反意語は?

  • short 短い
  • shallow 浅い
  • narrow 狭い

です。deep / shallowの対比は、日本語であれば、「甲が高いか低いか」ということになるでしょう。
ここで筆者が「問題視」しているのは、

  • あなたの足にとって、靴が too long or too short; too deep or too shallow; too wide or too narrowであることです。最大で、2x2x2で8パターンの「問題」が生じますが、これらの形容詞をまとめて、それらに、より上位の概念でラベルを貼るとすれば、
  • too tight or too loose

ということです。靴は「きつ過ぎても、ゆる過ぎてもだめ」という筆者の声が聞こえるでしょうか?では、「きつ過ぎもせず、ゆる過ぎもしない靴」とは?

最終の1文、

  • Wearing the right shoes lets you enjoy walking with fewer problems.

「正しい靴を履くことが、あなたに、より少ない問題で、歩くことを楽しませる」

という日本語で、なんだかわかったようなわからないような、ということはもうないでしょう?
キーワードの “the right shoes” も、下線部4で見たように、「あなたの足にきつ過ぎずゆる過ぎないピッタリ合った靴」という実感が湧きませんか?英英辞典の定義を確認したところを思い出してください。

  • right = suitable or appropriate for a particular purpose, situation, or person (MW’s Learners)

英語がわかっている人は、もう既に、この意味を頭の中に持って、ここまで読み進めてきたわけです。

ここでも、主語は、靴ではなく、wearing = (靴を)履くこと、と「ことがら」であることに注意して下さい。
“enjoy –ing” で、「歩行、ウォーキングを楽しめる」「楽しんでウォーキングできる」という意味がわかるのは、“let +人・もの+原形” での、使役動詞let の理解が前提です。映画『アナ雪』のテーマ曲での “let it go” ですっかりお馴染みでしょう。『アナ雪』であれば、「人・ものの意向・成り行きに任せる」「したいことをさせる;能力を開放させる」という場面がイメージできるかと。

ここでは、「ウォーキングを楽しみたいと思っているものの、足に問題を抱えていて楽しめない人も、正しい靴を履くことで、その問題は軽減して、楽しみたいという気持ちに任せられますよ」という締めくくりとなっています。

最後の “with fewer problems” という表現の「比較級」fewer を見落とさないで下さい。「より少ない問題」、つまり「軽減された問題」ということで、主題を提示した文章の冒頭の、

  • Wearing proper shoes can reduce problems with your feet.

の “reduce” に対応しています。

ここで、冒頭の文は can と助動詞だったのに、最終文は、 “Wearing the right shoes lets you enjoy walking with fewer problems.” と現在形が使われていることに納得がいかない人がいるかも知れません。この最終文での現在形となっている動詞はletです。使役動詞として使うletは「(結果として)可能にする」という意味を含んでいますから、意味の上でもきちんと冒頭の文に対応しているのです。

ということで、まどろっこしく、一つ一つ読んではちょっと戻り、また全体を見渡して、最後まで読み進めてきました。ここで、この完成した文章(段落)全体をもう一度通して読み直して下さい。

Wearing proper shoes can reduce problems with your feet. Here are some important points to think about in order to choose the right shoes. Make sure the insole, the inner bottom part of the shoe, is made of material which absorbs the impact on your foot when walking. The upper part of the shoe should be made of breathable material such as leather or cloth. When you try on shoes, pay attention not only to their length but also to their depth and width. Wearing the right shoes lets you enjoy walking with fewer problems. (95 words)

TTSによる音源はこちら
Download

遅めのTTS音源がこちら
Download

英文を読み解く際の問題が少し軽減された感じがしませんか?まだ難しく感じますか?「こんなやさしい英文で、わかりきったことをクドクドモッタイつけて話していないで、ズバリ本質を解説してくれ!」と感じますか?

あなたにぴったりの教材、学習材を選んで学ぶことも、靴選びと同様、またはそれ以上に、あなたの「学び」に付随する問題を軽減するのではないでしょうか、と述べて本日は終わりにしたいと思います。ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

本日のBGM: 耳をすまして(冬にわかれて)

試行錯誤

些か旧聞にはなりますが、今年(2018年)の2月に広島大学で開催された、

全国英語教育学会・小学校英語教育学会 2017年度第3回英語教育セミナー
2018年2月11日(日・祝)15:40-16:40
於:広島大学 教育学部(東広島キャンパス)K104講義室

セミナー② 
「体を表わし得る名とは?:
ライティング課題における「お題」と「テクスト」を見直したい」

での発表資料をこちらで公開します。

セミナーの翌週での振り返りは既に記事にしていましたので、そちらも併せてご覧下さい。

http://tmrowing.hatenablog.com/entry/2018/02/16/071840

一部、公益財団法人である「英検協会」の出題での著作権に関わる資料がこちらでは示せませんが、資料に表示されているリンク先を見ていただければ分かる範囲だろうと思います。

20180211広島レジュメ公開可能版.pdf 直
広大セミナースライドのコピー.pdf 直

  • 国産の「ヨンギノー」試験の「ライティング」では、とかく「お題作文」で「意見文」を書かせようとしすぎなのではないか?
  • さらには、お題の設定がお粗末なために、受験者の答案が一定のベクトルに収まらずに、適切な評価ができていないのではないか?

などなど、指導者も受験者も「腑に落ちない」ことがあるのではないかと、常日頃感じているのですが、そういった議論の端緒となれば、と思っています。

資料の中で、ケンブリッジのWrite & Improve の活用例も示していますので、ケンブリッジ英検の受検予定があるなしに関わらず、この機会に試してみて下さい。高額な受験料を払わなくても、かなり有益なフィードバックを得ることができます。指導者が使うだけでも、指導への「気付き」をもらえるのではないでしょうか?

本日のBGM: アイデア(星野 源)

「はてなダイアリー」終了の予告

突然ですが、「はてなダイアリー」が近々終了します。
いや、私の都合ではなく、「はてな」側の都合です。

「はてなからのお知らせ」がこちら

2019年春「はてなダイアリー」終了のお知らせと「はてなブログ」への移行のお願い
http://d.hatena.ne.jp/hatenadiary/20180830/blog_unify

どんなファイルでもアーカイブが手軽に作れることで、はてなダイアリーを続けてきました。現在も、「はてなダイアリー」の方で記事を書いて tmrowing at best にアップし、同じものを「はてなブログ」の “tmrowing at second best” に転載しています。しかしながら、「はてなブログ」の設定では、画像・動画ファイルには柔軟に対応していて、機能も充実しているのですが、ワークシートやハンドアウトのワードファイルやpdf、PowerPointのスライドなど、画像・動画以外のファイルをアップロードすることができませんので、アーカイブとして使う場合にも、「はてなダイアリー」でファイルアップロードをして、そこから「はてなブログ」にリンクが張られるという運用です。

そのため、「ダイアリー」終了後は、新規のファイルアップロードができなくなります。このブログを始めた目的が、そもそも授業日誌、実践記録であることを考えると、ファイルが手軽にアップロードできないというのは、大きなハンデ、デメリットとなります。ということで、「はてなダイアリー」終了後に、「はてなブログ」だけで継続していくかは現時点では未定です。

「はてなダイアリー」で研究部会用アーカイブと授業日誌を兼ねて始めた2004年から足かけ14年。総エントリーが1800日強、ダウンロード可能なファイルは1100強あります。とりわけ、2005年度〜2006年度の授業実践記録は資料的価値の高いものになるかと思います。

「終了までまだ半年ある」などと思っていると、ファイルのダウンロードなど、巡回ソフトで一括処理できないものが多々あると思いますので、今のうちから、目ぼしいものを拾い集めていただけると慌てずに済むと思います。

「英語教育」や「英語学習」でこれだけ広範囲のテーマを扱って現職高校教員が(しかも実名で)書いているブログは、他にはないと思いますので、DLだけではなく、過去ログも、今のうちの読める間に読んでおいて下さい。

本日のBGM: Ochansensu-Su (Audiotree Live Version)/ tricot

「忘れられたものたちのダンスは続いてる」

呟きの方で再び話題に上った、2012年のELEC協議会での発表資料を小分けにしてファイルサイズを落として、再度公開します。
伝統的な指導法では、所謂「英作文」とか「自由英作文」などと称される英文ライティングのための「教材」「教本」にあたります。「基本例文集・暗唱例文集」から「日本文学の翻訳」まで、伝統的な指導法を知る機会自体が今後は失われていくのだろう、という思いから、再度アップする次第です。

通し番号は、表紙にあるもので確認して下さい。

セミナーそのもののレジュメはこちらです。

http://d.hatena.ne.jp/tmrowing/files/2012_ELEC_summer_matsui_downsized_public.pdf?d=y

以下、画像ファイルの貼り付けで、若干重いものもあるので、スマホ等でのダウンロードにはご注意下さい。

① ~ ③
ELEC 2012夏期資料1.pdf 直

④ ~ ⑥
ELEC 2012 夏期資料2.pdf 直

⑦ & ⑧
ELEC 2012 夏期資料3.pdf 直

⑨ & ⑩
ELEC 2012 夏期資料4.pdf 直


ELEC 2012 夏期資料5.pdf 直

⑫ ~ ⑭
ELEC 2012 夏期資料6.pdf 直


ELEC 2012 夏期資料7.pdf 直

⑯ & ⑰
ELEC 2012夏期資料8.pdf 直

本日のBGM: たよりないもののために(寺尾紗穂)