♪オーロラより冷たいね♪

2月もいよいよ終わりというのに、氷点下の朝が続きました。
ピョンチャン冬季五輪も閉幕。
来月にはパラリンピックがあります。
で、今回の五輪の話から。

  • もしキム・ヨナさんが現役を続けていたとしたら観に行っていただろうか?

などと考えたこともありました。何しろ、イタリアのコストナー選手は団体戦も個人戦もフル出場ですから。でも、開会式でのあのサプライズ演出で満足しておきます。
今大会を中継で見ての感想ですが、フィギュアスケートは技術と芸術の極みへと近づいたように思います。

女子シングルでは、メドベデワ選手とザギトワ選手、OAR二人の頂上決戦でした。
三位争いに注目が集まりましたが、その頂上二人に一番接近できたのが、ダイナミックさ全開で跳び、滑ったカナダのオズモンド選手だったと言えるでしょう。宮原選手の個人戦は二本揃えたどころか、自己ベストの更新で、4位という結果も、晴れ晴れとした気持ちでみることができました。ただ、この場に、リーザもラジオノワ選手もいないなどとは4年前には想像もしていませんでした。オズモンド選手もキャリアが危ぶまれるほどの怪我からの復帰で第一線に戻り今回の表彰台に、メドベデワ選手も宮原選手もシーズン半ばでの故障明けからの調整での出場です。高難度プログラムが増え、精度を高めるためにトレーニングの強度もあがるだけではなく、各種のアイスショーへの出演もコンディションを整え、ピークを合わせることを困難にしていると思います。

ディック・バトン氏以来、66年ぶりの連覇が羽生選手に集まった男子シングルですが、私が一番期待していたのは「フィギュアスケートの未来」、ネイサン・チェン選手でした。団体戦から今一つしっくり来ていませんでしたが、ショートでは見たことがない崩れ方。そして、ソチでの浅田真央選手を思い出させるかのような、フリーでの爆発的な4回転6本!鮮烈な記憶として、見ている人に焼き付いたことでしょう。

銀メダルは、宇野選手。「眠そう」「起きて!」などとリンク外の挙動が話題となっていましたが、競技そのもので、今シーズンを通しての安定感は驚異的です。羽生選手が個人戦に専念ということで団体戦でも重責を担っていました。フリー冒頭でのミスのあと、しっかりと作品を作り、終えられる希有な才能です。
銅メダルはフェルナンデス選手。(私のワードは、もう、「フェ」と入力すればこの名前がでてきます。)かつて、私はこうつぶやきました。

コレオというかアートとして見たら、フェルナンデスのプロの方が芸術性は高いのだろうけれど、羽生選手の滑りはその1つ1つの技そのものがもう芸術の域に達しているような気がする。
https://twitter.com/tmrowing/status/675067092379545600

五輪シーズン、ショート、フリーといい作品を仕上げて来ましたが、フリーでのミスが響きました。それでも、4回転サルコウで道を拓いてきた彼のジャンプは本当にダイナミックで男性的な美を感じます。

そして、羽生選手。

  • 本当に間に合うのか?

誰もがそう思っていたであろう、故障からの復帰初戦どころか初演となるショートプログラム。
圧巻の演技。
五輪に魔物がいるとすれば彼のことではないのか?とさえ思いました。
あれだけ滑れるのだから、あれだけ跳べるのだから、と期待が募るフリーでは、後半に危うさを見せながらもお手付きもせずに終演。他を寄せ付けない「強さ」を見せつけたといえるでしょう。

記者会見では、まだ痛み止めを使わなければ着氷すらできない、完治にはほど遠い状態での試合だったことを明らかにしました。
それでいて、ショートでの3Aの流麗な美しさ、フリーでは冒頭の4S以上に、今ではジュニアでも跳んでいる4回転ジャンプである、4Tで、これまでに見たことのないような完成度の高さを見せてくれたことに感謝しています。
羽生選手の連覇はまだ歴史の序章なのかもしれません。

ペアでは、ロシアのスト&クリが、まさかのIOC裁定で出場が認められず、中国、ドイツ、カナダの争いに。ショートでの痛恨のミスで、表彰台からも…と思われた「ドイツ」のペア、サフ&マソが大々逆転の金メダル。ちょっと泣きました。スイ&ハンの五輪頂点は次回の北京で、と期待しています。

「ヴィカ様のいないアイスダンスなんて…」と思っていた、アイスダンスでの頂上決戦は、ショートダンスでの悔やみきれない「事故」もあり、少し落ち着いてから振り返りたいと思います。

今回の五輪で競技者としての現役に別れを告げるスケーターも多いことでしょう。また、各国の出場枠の関係で、混戦の代表選考で惜しくもワールドに回った樋口選手など、まだまだ「五輪」という舞台で見たかったスケーターたちはたくさんいます。一人のファンとしては、皆がそれぞれの「アリーナ」で自分の理想を追い求める環境を得られることを願っています。

スケーターといえば、こちらも忘れてはいけません。

スピードスケート。
応援していた高木選手も団体追い抜きで金メダルを獲得。
小平選手は勝つべくして勝つことを「体現」してくれました。「己を成す」ということですね。

選手団も帰国、記者会見など祭りの余韻はしばし続くことでしょう。
私は週末から学年末試験。
まずは作問を成します。

本日のBGM: 素敵なパメラ(南佳孝)

名詞は四角化で視覚化 2017-2018

かれこれもう20年以上やっていると思われる、私の授業の「定番」といえば、

  • 名詞は四角化で視覚化

ここ10年でも大きく動きを見せ、最近は記号づけのシステムでこだわるところと、こだわらないところの見極めが、少なくとも自分の中ではついてきたので、名詞句の限定表現を学ぶ上で、「悩みどころでは悩みなさい」「迷いどころでは迷いなさい」「躓きどころでは躓いておきなさい」という指導の中で、「戻れる確かな足場」を提供することが出来るようになったと思っています。

今年度、主として高1と高2の指導で使った「四角化ドリル」を公開します。
ただし、四角などの記号がついていないものです。
当然、このドリルはシラバスの中で使われ生きるものですので、「なぜ、この項目をひとまとめにしているのか?」「なぜこの名詞句を選んでいるのか?」「なぜ、これがあって、あれがないのか?」などなど、このブログのあちこちで記されている、私の授業での活動を併せて見ていただくことが不可欠かと思います。

ということで、一つ一つを解説したりはしませんので、「テクスト」としての「名詞句」の選択と配列、そしてその扱いを行きつ戻りつ眺めて下さい。
分かる人には分かりますから。
商用の流用は不可。二次使用の際には、出典明記でお願いします。モラルです。

名詞は四角化で視覚化 2017-2018 - 英語教育の明日はどっちだ! tmrowing at second best http://tmrowing.hatenablog.com/entry/2018/02/21/185812

その1からその6

ここまでのpdfはこちら↓
[file:tmrowing:2017「名詞は四角化で視覚化」 ドリル_1-6.pdf]

その7からその15と号外

ここまでのpdfはこちら↓
[file:tmrowing:2017「四角化ドリル」_7_15.pdf]

その16からその20

ここまでのpdfはこちら↓
[file:tmrowing:2017「四角化ドリル」_16-20.pdf]


2018年2月23日追記:
本日の記事とあわせて読んで欲しいのは、このリンク先の記事の中にある蔵出しファイルの内、特に「得手不得手」のリストと一覧表です。

tmrowing.hatenablog.com

さらには、こちらの記事での「名詞句の拡充」のファイル関連で「目的語」の扱い。

tmrowing.hatenablog.com


本日のBGM: 素敵なイルサ (Mamalaid Rag)

「まだ終わらんよ」って…。

久々に生業の「お座敷」で広島、そして生業関連で静岡へと出かけていました。
途中の広島の雪が心配だったのですが、なんと仕事を終え帰山したときの山口市内が一番の雪だったというオチ。

広島の全国英語教育学会のセミナーでは、「お題とテクストの見直し」を問いかけてみました。
「語であれ、文であれ、文章であれ、テクストをテクストとしてきちんと扱いましょうよ」という私の心の叫びでもあります。

  • テクストタイプ

について、四半世紀叫び続けてきましたが、まだまだ合意形成が為されていないに等しい、日本の英語教育界においては、これからの若い世代に希望を託したいと思います。

発表資料にあった、 Write Ways は2016年に改訂4版が出ていることに、資料を作ってから気がつきました。ホニャララミクスのおかげかこの洋書も決して安い買い物ではないので、第3版を使い続けてきた私も思いきってポチっています。

Write Ways

Write Ways


「書くこと」に限らないのですが、英語ということばの運動性能を考えたときに、長沼君主先生が紹介してくれた、こちらのダイアグラムが、授業におけるテクストタイプの扱いや、授業での「テクスト」そのものの精査に有益ではないかと思います。

「テクストタイプ」の分類例

長沼君主『デュアル英語トレーニング』(コスモピア、2004年)より

L&R デュアル英語トレーニング【CD2枚付き】

L&R デュアル英語トレーニング【CD2枚付き】

資料で示した「課題」のうち、英検のものも入試のものも、いくつかは批判的に扱いました。英検の公式サイトで公開されているものも、当日配布の「ハンドアウト」への転載のみ、使用許諾を得ていますので、私の資料からスキャンしたり、コピーや写真を撮ったりしたものを、SNSも含め、webで不特定多数に向けて公開することはお断りします。「遠慮」とか「控える」ではなく、「禁止」「やめて下さい」ということです。

発表の際に、ケンブリッジのWrite & Improveを紹介しました。
無料公開ですので、このくらいで満足すべきなのだろう、というところまでは来ているでしょうか。
登録すればワークブックで様々な「お題」に取り組むことが出来ます。
詳しくはこちらへ。

Cambridge Write & Improve
https://writeandimprove.com/workbooks#/wi-workbooks

レベル設定はCEFRに準じて3段階(に加えてFor Funがあります)

Beginner (CEFRのA1-A2想定)
Intermediate (B1-B2)
Advanced (C1-C2)

解答を書き込みチェックを受けると、A1ならA1の中で、さらに5つのバンドに分かれてグラフ上のプロットのようにレベル判定されます。

Beginner の「お題」例から抜粋すると、こんなバラエティです。

1. An email: My favourite day of the week
2. A paragraph: A place you like
3. A postcard: My town
4. A note: New town
5. A description: Your home
6. A note: Instructions
7. An invitation: Picnic

Intermediate の「お題」だとこんなものが見つかります。

8. An email: My favourite film
9. An article: Learning English
10. An opinion essay: Learning a new language
11. A story: Surprises
12. A report: A popular television programme
13. A descriptive essay: Fantasy journey

この Write & Improveの長所の一つに、「話題」が共通していて、テーマ語彙や語彙構文の選択は共通しているけれども、出口として異なる相手に、異なる目的で書かなければならない「お題」の設定にしてあるところです。
たとえば、

2. A paragraph: A place you like

Your teacher wants you to write about a place you like.
(about 30-40 words)
Write about

  • where the place is
  • why you like the place

3. A paragraph: Your home town

Write a paragraph for a brochure about your home town.
(about 40 words)

You must include TWO of these things:

  • Information about important landmarks
  • Information about shopping and accommodation
  • Information about parks, museums and restaurants
  • Information about night-time entertainment

4. A postcard: My town

You receive this postcard from your English pen friend, Joe.

Here is a postcard of my town. You can see it’s very nice.
Please send me a postcard of your town and tell me:
How many people live in your town?
What’s the nicest part of your town?
What can you do in your town?
Thanks! Joe

Write your postcard. (about 30 words) 

5. A note: New town

You now live in a new town.
Write a note to your friend Isabel about the town.
(about 30 words)
In your note:

  • tell Isabel where your town is
  • say what the main attractions in the town are
  • tell her about your favourite place in the town

and why you like it

では、リソースを共有しつつも、それぞれの「お題」に沿って「テクスト」を完成させることが求められています。これらの初級の「お題」は一つ一つを見れば確かに「簡単」。でも、同じようなレベルでのタスク・レペティションを実際の授業やシラバスに落とし込もうというのは骨が折れるもの。特にESP(s)ではなくEGPの性格が強い(はずの)中高での授業では。そんな時に、このW&Iですよ。わかる人には響くはずだと思い紹介した次第。
中級の「お題」から、

Intermediate
An email: My favourite film
What is your favourite film?
Write a letter to your pen friend.
Explain why you like the film
and why you think your pen friend should watch it.
(about 100 words).

を取り上げます。
実際に、私が、あれこれと「テクスト」を入れては「小細工」して、W&I が評価をどう変えてくるかを見たものです。それぞれの「テクスト」の最後に、語数とCEFRのランクと、そのランクの中で5段階のどの位置にあるか (1が一番下、5が一番上)を示しています。

1. The movie that had the biggest impact on my life is "Hotel Rwanda. It is a historical drama film about a hotelkeeper during the Rwanda Genocide in 1994. More than one million people were murdered in less than three months at that time, and the movie focused on an ordinary man who had extraordinary courage to save the lives of over a thousand helpless refugees, by giving them shelter in the hotel he managed. The movie was very shocking to me since I have never faced such a fearful situation. The movie was an eye-opener to make me realize what is happening in the world.
(B1-3, 105 words)

2. Hi, Friend.
I know you love watching films, and I will show you my favourite one.
The movie I would like you to see the most is "Hotel Rwanda. It is a film based on the true story about the Rwanda Genocide in 1994. The film focused on an ordinary man who had extraordinary courage to save the lives of over a thousand helpless refugees, by giving them shelter in the hotel he managed. That is the part I like the most about this film. "Hotel Rwanda" must be an eye-opener to make you realize what is happening in the world. I hope you will have a chance to see this film.
(B1-3, 112 words)

3. Hi, Friend.
I know you love watching films, and I will show you my favourite one.
The movie I would like you to see the most is "Hotel Rwanda. It is a historical drama film about a hotelkeeper during the Rwanda Genocide in 1994. More than one million people were murdered in less than three months at that time, and the movie focused on an ordinary man who had extraordinary courage to save the lives of over a thousand helpless refugees, by giving them shelter in the hotel he managed. The movie might be very shocking to you since you have never faced such a fearful situation. The movie, however, must be an eye-opener to make you realize what is happening in the world.
(B1-5, 124)

このような、ランク判定とレベル判定は次のようなプロットで、示されます。

このグラフそのものは過去5回分しか履歴には残らないので、たくさん書き直しする場合にはスクショなどを撮っておくことをオススメします。

4. Hi, Friend,
I know you love watching films, and I will show you my favourite one.
The movie I would like you to see the most is "Hotel Rwanda. It is a film based on the true story about a hotel keeper during the Rwanda Genocide in 1994. The film focused on an ordinary man who had extraordinary courage to save the lives of over a thousand helpless refugees, by giving them shelter in the hotel he managed. "Hotel Rwanda" might be shocking since most of us have never faced such a fearful situation, but at the same time, the film will be an eye-opener to make you realize what is happening in real world. I hope you will like it, too.
(B2-1, 122 words)

このあたりで、やっと B2の一番下のレベルの評価をもらっています。

5. Dear Friend,
I know you love watching films, and I will show you my favourite one.
The movie I would like you to see the most is "Hotel Rwanda. Have ever seen this film? It is a film based on the true story about a hotel keeper during the Rwanda Genocide in 1994. The film focused on this ordinary man who had extraordinary courage to save the lives of over a thousand helpless refugees, by giving them shelter in the hotel he managed. "Hotel Rwanda" might be a little too shocking since most of us have never faced such a fearful situation, but at the same time, the film will be an eye-opener to make us realize what is happening in the rest of the world. This is definitely worth seeing, and I am sure you will like it, too.
(B2-4, 140 words)

100語という「想定」に、140 語を入れてみると、B2の中でもレベルがかなり上がりました。

6. Dear Angie,
I know you are a big fan of films, and I have always enjoyed talking to you about the films we watched. Today, I will show you my top favourite in ten years.
The film I would like you to see the most is "Hotel Rwanda." Have ever seen this one? It is a film based on the true story about a hotel keeper during the Rwanda Genocide in 1994.
The film focused on this ordinary man who had extraordinary courage to save the lives of over a thousand helpless refugees, by giving them shelter in the hotel he managed. This part is one of the best scenes in this film. It is amazing to see a man can be so humane and considerate to other people in such a critical time.
"Hotel Rwanda" might be a little too shocking since most of us have never faced such a fearful situation, but the film, at the same time, will be an eye-opener to make us realize what is happening in the rest of the world. This is definitely worth seeing, and I am sure you will like it, too. (C1-4, 191 words)

さらに、思い切って、PETのライティングで求められる190 語の「テクスト」に仕立ててみると、なんということでしょう。B1-B2「想定」の中級の課題でも、C1の判定が返ってきます。この「テクスト」に与えられたフィードバックがこちら。

Excellent! You’ve made amazing progress. Your writing is extremely proficient. Practice makes perfect, so keep writing to keep improving! Try building on what you have written or return to Workbooks to start a new task.

7. Dear Angie,
I know you are a big fan of films, and I have always enjoyed talking to you about the films we watched. Now, I will tell you about the film I watched the other day.
The film I would like you to see the most is "Hotel Rwanda." Have ever seen this one? It is a film based on the true story about a hotel keeper during the Rwanda Genocide in 1994.
The film focused on this ordinary man who had extraordinary courage to save the lives of over a thousand helpless refugees, by giving them shelter in the hotel he managed. This part is one of the best scenes in this film. It is amazing to see a man can be so humane and dedicated to other people in such a critical time.
"Hotel Rwanda" might be a little too shocking since most of us have never faced such a fearful situation, but the film, at the same time, will be an eye-opener to make us realize what is happening in the rest of the world. This is definitely worth seeing, and I am sure you will like it, too. (C1-5, 193 words)

語数は殆ど変えずに、小細工をしたら、同じC1判定でも、レベルが一つ上がりました。
こんな褒めことばが返ってきます。

Well done! Although your level remains the same, you have made definite improvements. Think about ways to make your writing more accurate and fluent. Remember: if you can’t think of ways to improve this writing some more, you can always start a new answer or return to Workbooks to try a different task. Keep on writing to keep on improving!

8. Dear Angie,
I know you are a big fan of films, and I have always enjoyed talking to you about the films we watched. Now, I will tell you about the film I watched the other day.
The film I would like you to see the most is "Hotel Rwanda. Have ever seen this one? It is a film based on the true story about a hotel keeper during the Rwanda Genocide in 1994.
Indeed, the film focused on this ordinary man all through the story, but this ordinary man had extraordinary courage to save the lives of over a thousand helpless refugees, by giving them shelter in the hotel he managed. This part is one of the best scenes in this film. It is amazing to see a man can be so humane and dedicated to other people in such a critical time.
"Hotel Rwanda" might be a little too shocking since most of us have never faced such a fearful situation, but the film, at the same time, will be an eye-opener to make us realize what is happening in the rest of the world. This is definitely worth seeing, and I am sure you will like it, too. I look forward to hearing from you soon.
(C2-1, 207 words)

200語を超えたものを入れてみると、C2判定となりました。こんなフィードバックです。

Excellent work! Your level is C2. To keep this level in your writing, you need to keep practising. Use Write & Improve to practise regularly and keep an eye on the feedback to spot any common mistakes or bad habits. You can afford to be more adventurous in your writing. Give it a try!

最初の英文がB1の3、最後のものはC2の1という判定ですが、同じ「テクスト」を、同じくケンブリッジが提供している Text Inspector でチェックしてみると、CEFRのランク付けにも違いが出てきます。

1のテクストは、C1判定。
語彙をEVPでチェックすると

A1: 57.33%
A2: 14.67%
B1:13.33%
B2:5.33%
C: 2.66%

となります。

グラフィックなフィードバックも貼り付けておきます。




一方の8のテクストは B2+ という判定になります。
EVPだと、

A1: 57.66%
A2: 17.12%
B1:13.51%
B2:3.60%
C: 2.70%

となって、B2レベルの語彙の使用に差があることが見てとれます。



この分析結果だけで多くは語れませんが、1から8でテクストは倍近く長くなったにも関わらず、リーダビリティが格段に改善していることも見てとれます。


ちなみに、1のテクストは、『パラグラフ・ライティング指導入門』(大修館書店、2008年)の拙稿部分から転載したもの。

  • 「私の人生に本も大きな影響を与えた作品」

というお題で書かれたものです。今回のW&Iのお題には全く答えていないにもかかわらず、W&IでもB1の判定は出るわけです。語彙選択、構文選択など英語としての「成熟度」「洗練度」という点ではText Inspectorの判定であるC1というのも理解できなくはありません。「テクスト」そのものを何らかの指標に照らして分析するわけですから。

では、振り出しに戻って「ライティング」の評価とは?何をもって「良い英文」だと見なすのか?
ただ「テクスト」を精査するだけではなく、「お題に沿っているか?」つまりは、「誰が、誰に対して、何のために、どのくらいの分量で」書くのか、を併せて考えないとならないだろうと思うわけです。

「お題」と「テクスト」について、今年はじっくりと生き直したいと思います。

ということで、広島の振り返り。
懇親会までお世話になりました。
○田先生、本当にありがとうございます。

本日のBGM: Karma (Mamalaid Rag)

君が待っていた言葉

免許更新も無事終えて、安堵。
いや、自動車の運転免許ですよ。

11日に迫った広島のセミナーの印刷資料の作成も終え、担当の先生への送付も完了。
中高にまたがる課題の設定にはちょっと悩んだけれど、英検3級レベルと高校入試レベルの「お題」で、中学の出口と高校の入り口を考え、大学入試でよく問われる「お題」をもとに、高校段階で何を考えておくべきかを問えればと思っています。複数題を用意しましたが、参加者の顔ぶれを見て、余り欲張らずに進める予定です。

今回、久々に「ライティング」のお座敷なので、「書くこと」「書くことば」について考えていて、当然のごとく、その前の「読む・聞くこと」「読む・聞くことば」についてもあれこれと考える時間がありました。『英語教育』などで取り上げられる今風の授業のありようもいろいろ眺めていたのですが、何だか、自分の居場所がなくなってきたなぁ、という思いが強くなってきています。

英文を読むにも聴くにも「一言一句の全てを理解しているわけではない」と、選択的理解を推奨し、「教授者が狙いとする課題が達成されていれば、そこまでにやりとりすることばそのものは不問」とし、「正確さよりも流暢さ」とばかりに「発話量を増やす」活動を推奨するような英語教室が増えていく中で、「その発話の適切さ」はどう担保されているのでしょう?そもそも、その授業で教材として提示する「素材たることば」はどう選ぶのでしょう?

情報転移で「グラフィックオーガナイザー」を使う授業も流行っています。「読み」がデフォルトで設定されているであろう「テクスト」から、キーワードをグラフィックオーガナイザーに移植する「課題」で、うまく移植できなかったものは、何が読めていないのか?移植できた者も、本当に読めていたのか、をどのように確かめるのでしょう。理解の確認の手段が貧弱であることには目を瞑りますか?そもそも、クラスターや枠や表などの「グラフィック化」そのものは、教科書の著者陣や教師がやっている場合が殆どなのではないでしょうか?それって「主体的」な深い処理ですか?

「即興性」というのも、今どきの(そしてこれからの)英語教室を縛る強力な呪文かも知れません。なぜ、教室でそんなに急ぐのか?なぜ、教室の外にある「現実」を教室に移入することに躍起になるのか?

ある「テクスト」を読んだ後で、「ディベート」だか「ディスカッション」だか、即興で意見を言わせる前に、「そこ、本当に読めていますか?」って言ってあげる人は教室にいないのでしょうか?教師は「ファシリテイター」だなどと言われて久しいですが、学習者の問題意識が高められて、その「お題」に感情移入できることが主眼なのであれば、もとの「テクスト」たる「英文」は最早不要ではないのでしょうか?

即興で自分の書いた原稿を見ながら他の生徒全体に「読み上げ」ているときに、耳で聞くだけで理解できている者がどれだけいるのか?ペアで意見を「やりとり」した後での、別な相手に「レポート」するのでも、そこで「理解し損なった」「伝え損なった」意味をどのタイミングで、誰が掬い上げるのか?

どのような活動をするにせよ、高校の英語の授業は
・ことばそのもの
・意味・語義・定義
をもっと丁寧に扱うべきではないのでしょうか?

共著である『パラグラフ・ライティング指導入門』(大修館書店、2008年)の高等学校編は私の担当です。そこで紹介している活動例は全て実際に私が勤めていた高校の授業で行ったものをまとめています。

その最初に紹介している活動は

次にあげる1.-10. の形容詞は、全て人の性格・性質を表すものです。しかも全て、好ましい・積極的・肯定的な意味を持つものです。それぞれの形容詞が描写している典型的な動作・行動をイメージして、 (a)-(j) の言い換えから最適なものを選びましょう。

というもの。
形容詞のリストは、

1. optimistic
2. hardworking
3. serious
4. ambitious
5. sociable
6. organized
7. competitive
8. confident
9. independent
10. patient

典型的な動作・行動の記述は、

(a) do not tell jokes or laugh
(b) always work hard in your job or school work
(c) stay calm without becoming annoyed or bored
(d) have a strong desire to be successful, rich or powerful
(e) hate to lose and always enjoy trying to do better than other people
以下略

となっています。
なんのことはない、形容詞の定義を動作・行動に移し替えることで実感してもらうという教師の「目論見」です。ある「ことば」を使う以上、その意味がはっきりと分かった上で使う方が、分からないまま使うよりはいいだろうというteacher’s belief と言ってもいいでしょう。

語義をもっと大切に扱いましょう、といいましたが、たとえば形容詞のリストの最後にある patient。
この語は日本語訳では「我慢強い」「忍耐強い」などとされることがありますが、英語では「強さ」として認識されているのでしょうか?上述のマッチングの活動であれば、

  • (c) stay calm without becoming annoyed or bored

が当てはまるところです。最近の辞書からの定義も引いておきましょう。

COBUILD Am E
・If you are patient, you stay calm and do not get annoyed, for example, when something takes a long time, or when someone is not doing what you want them to do.

Activator
・able to wait calmly without becoming annoyed or bored

Cambridge
・B1: having patience 
→ patience = B2: the ability to wait, or to continue doing something despite difficulties, or to suffer without complaining or becoming annoyed

  • この語義に「強さ」を感じますか?

というような「問いかけ」「揺すぶり」を、高校卒業までのどこかでやっておく必要があるのではないでしょうか?

拙稿での、この活動の続きは、今では中学校どころか、小学校の「外国語活動」でも行われているであろう「自己紹介」へと発展していきます。何が、小学校段階、中学校段階とはことなる「ことば」の使い方となるのか、是非、拙著・拙稿をお読みいただきたいと思います。

パラグラフ・ライティング指導入門―中高での効果的なライティング指導のために (英語教育21世紀叢書 17)

パラグラフ・ライティング指導入門―中高での効果的なライティング指導のために (英語教育21世紀叢書 17)


表現活動でとかく持て囃される「ディベート」や「ディスカッション」のような「意見」「論理」から少し距離を置いて、「物語文」を扱う実践も少しずつですが増えてきた印象もあります。ただ、ここでも、世間との温度差を感じています。

もともとの英文がオリジナルであれ、retoldであれ、折角、誰か作家・作者によって書かれた「物語文」を素材として読んでいるのに、それをさらに劣化した言葉でretoldさせるような「実践」を見ると、「では、どうしてもとの物語を読ませることにしたのか?」と思うわけで、そういう活動に教育的意義を感じないのです。

そんな活動に、reading & writingの「技能統合」とか、「深い処理」とかいうラベルを貼って「今風」を装うくらいなら、絵や写真や年表をもとに、生徒に物語らせておいてから「教材」の英文を読ませて、自分の書いた「テクスト」とのギャップに驚いたり喜んだりすることの方がよほど教育的意義があるでしょう。「流石、プロのライターは違うな」と思えるような素材を選ぶ必然性が生まれると思うのです。もちろん、習熟度が高く、所謂「帰国子女」などが多数いるようなクラスであれば、「なんだよ、俺の英語の方がいいじゃない!」などということもあるかもしれません。それはそれで意義深いことでしょう。

以前、語研のセミナーだったか、津田塾大のセミナーだったかで、「置き換えられないことば」というキーワードで「詩」を扱った発表をしたことがありました。

この過去ログからリンクを辿ってください。
http://tmrowing.hatenablog.com/entry/20160615

詩の言葉を、自分のことばで要約してしまっては言葉の価値は何もなくなってしまうでしょう。それぞれの学習者がそれぞれに解釈して、自分(たち)のことばでパラフレーズしたとしても、やはり、詩の元々のことばに戻って、そのことばを生き直さなければ意味がないと思うのです。もう10年ほど前の話になるでしょうか。

では、何故「物語文」はそんな勝手な加工をしても許されるのか?いたたまれない思いです。「テキスト(=教科書、教材、学習材)」での「テクスト(=ことばそのもの)」の扱いを再考する人が増えて欲しいと願ってはいますが、その思いが私の中で強まっているということは、そろそろ私は、この舞台から退場する時期に来ているのだろうなぁという感じもしています。

本日はこの辺で。

本日のBGM: Goodbye (Mamalaid Rag)

如月と言えばハニー

大きな月に見送られ、早くも2月。

再度告知から。
後10日に迫ってきました。まだまだ余裕はあるようです。

2018年2月11日(日・祝)
平成29年度全国英語教育学会・小学校英語教育学会第3回英語教育セミナー
広島大学教育学部(東広島キャンパス)K104講義室(広島県東広島市)。
概要はこちらの公式サイトのセミナーのページで。
http://www.jasele.jp/seminar_2017_3/
プログラムはこちらのリンク先から。
(http://www.jasele.jp/wp-content/uploads/20180211JASELE_JES_Seminar.pdf)

小学校英語教育学会との共催ということで、基調講演と私以外のセミナーは「小学校英語」色が強いのですが、私のセミナーは主として「中学校・高等学校でのライティング指導」に関わるものになります。『パラグラフ・ライティング指導入門』(大修館書店)を既にお読みの方も、まだ読まれていない方も、このテーマ、分野に関心の強い方のご参加をお待ちしております。「まだ読んでいないし、読む気などサラサラない」という方は、セミナーに来られても(お互いに)面白くないでしょうから、ご遠慮いただくのが良いかと思います。

以下、私の担当するセミナーの概要です。ワークショップ的な要素も加味して60分しかありませんので、上記『パラグラフ・ライティング指導入門』に加えて、このブログの過去ログを事前にお読みいただくことをオススメします。2月11日という時期が時期ですが、国公立大学の個別試験で出題されるような、所謂「自由英作文」の解法講座ではありませんので、くれぐれも誤解なきよう。

セミナー2 『体を表わし得る名とは?:ライティング課題における「お題」と「テクスト」を見直したい』
講師  松井孝志(山口県鴻城高等学校)
「あなたが一番好きな季節はいつですか?好きな理由を二つあげて英語で書きなさい。」というライティング課題の問題点は何でしょうか?このお題が「前提」としている「良い作文」「好ましい作文」の要件とは何でしょうか?この課題は和文英訳よりも優れているでしょうか?教科書や教材、高校&大学入試、所謂「外部試験」も横目で見つつ、「テクストタイプ」の考察も含め、「テクスト」そのものを見直すセミナーにしたいと思っています。

さて、前回に続いて、蔵出し・棚卸しでワークシート放出です。
個人での利用はご随意に。二次使用に際しては必ず出典明記でお願いします。モラルです。
「実践」とかいう便利な言葉でぼんやりさせる、などというのは志村くんだけに許されていることですから…。

四角化ドリルの延長線。文と名詞句との識別ができることは大きな英語力だと思っています。

2017四角化再び.pdf 直

名詞句の限定表現と「ことがら化」を、自分の学習者としての疑問を無視せず扱っています。

名詞として働くことがら=ワニ 2017.pdf 直

語句のリストと一覧表での総まとめとなります。

名詞句の限定表現 得手不得手 2017 5訂版.pdf 直


所謂「準動詞」。形合わせに悩むところですが、「悩み処では悩んでおきましょう」という、身も蓋もないアプローチです。気休めは言わないし、ギミックもありませんから。

準動詞の肝2017.pdf 直


所謂「知覚動詞」と「使役動詞」。重点は形合わせに悩む「知覚動詞」に置いていますが、使役動詞は折に触れここに戻って確認します。
学習者としての自分の疑問を無視しない、というのがどういうことか、まあ、用例のセレクションと解説を読んでみて下さいな。
ちなみに、使役動詞のhave の例文で出てくる、 Mr Omura は実在の人物です。(http://www.yg-life.net/kodawari/index.php?eid=2

VOの後にくる動詞の形合わせ2017.pdf 直

今年のセンター試験で気になる英文が出ていたので、それにも言及しました。「分詞」にできること、って結構たくさんあるんですけど、実感との摺り合わせは難儀しますよ。

いわゆる分詞構文2017年版.pdf 直

本日はこの辺で。

本日のBGM: Niagara Moon (大滝詠一)

den or share?

学校に届いていた教材見本を覗いてみて、そこで用いられている独自の用語とそれが表している実体との不整合にちょっとクラクラしています。
私も、「名詞は四角化で視覚化」とか、「助動詞の番付表」などといった独自の用語を用いてはいますが、その実体は従来の学校文法、教育文法や英語学の知見を反映させたもので、独創的とか革新的という理論は(ほぼ)皆無です。

今シーズン、私が授業で使ったワークシートをダウンロードできるようにしておきますので、ご自身の英語学習に使えるものはご自由にお使いください。ただ、これをもとに「授業」が行われている、ということの意味はよく考えておいて欲しいと思います。無料で、パスワードもかけませんが、商用での流用や加工は固くお断りします。また、「実践」発表とやらで流用する場合には、出典を必ず明記した上で転載願います。批判的な引用でも同じことです。引用の許諾を求める必要はありません。「実践」とやらで、どこでどのように使おうがそれは引用者の自由ですが、必ず「出典」を明記して下さい。


名詞は四角化で視覚化の一連のドリルのあと、こちらに移ります。
名詞句の限定表現の指導・学習の一環です。

2017「目的語」感覚を養う.pdf 直
目的語感覚その2.pdf 直
2017特進自動詞・他動詞.pdf 直

それと並行して、助動詞と時制の拡充に努めます。

2017番付表(横綱).pdf 直
大関の活躍2017.pdf 直
2017関脇感覚.pdf 直
小結は転んでもただでは起きない2017.pdf 直

本日はこの辺りまで。

本日のBGM: Looking for the right one (Art Garfunkel)

a powerful, grasping organization with far-reaching influence

自分の勤務校の高校入試も終わりましたが、2018年センター試験・外国語(英語)筆記・第5問がまだでしたので、今日はそちらを。

センター試験当日は、

  • タコ星人

という語句がSNSを賑わしていて、驚きました。

「ナラティブマスター」を目指す私でも、こんな出題をみると「物語文の復活」などといって喜んでいいものやら、悩ましく思います。

航海日誌8日分の記述をもとに、設問に答える、という設定なのですが、一番気になるのは、

Our mission …. We may have finally found …. Now we are orbiting …. It seems that our assumption was correct!

という一人称複数の記述がこれだけあるにも関わらず、日誌を書いているのは「一(星)人」しかいないのでは?ということ。星人のイニシャルとか、コードネームとかが書いてあれば、チーム感がもう少し増すのだろうけれど、設定、プロットの作りが雑ですよね。

問1 の質問には、
What was the purpose of the explorers’ journey?
と「複数形」のexplorers が使われているのだが、この辺りは受験生は気にならなかったのだろうか、と心配します。この問いに該当する日誌の記述は当然、DAY 1 の、

We may have finally found a planet capable of supporting life. The nearby planets were either too hot or too dry to support life, but this planet seems to be different.

でしょう。

問2では、… observing the planet from space とあるので、まだ、”dive’ する前のDAY 4 の段階の記述を該当箇所として読むべきだとわかります。
They were certainly made by some kind of intelligent beings.
辺りの記述を決め手として正答を選ぶことになるでしょうか。

問3 は、受験生が知らないであろう、語句やイディオムを文脈から類推させることが「建前」の問題なので、「空所補充」で解くべき問題です。なまじ、reservation という語句に馴染みがあるがために、自分の記憶やイメージに引きずられて墓穴を掘った人も多かったのではないかと。
辞書通りの意味だと、形容詞で人の性質などを現す reserved に対応する名詞なので、形容詞としての意味、

(adj) having or showing self-restraint (World Book Dictionary)

を踏まえた上で、reservations という「複数形」の意味合いで、

a feeling of uncertainty about a project, principle, etc. Freq. in pl.(Shorter Oxford Dictionary)

位に近づけていれば言うことはないのですが、まあ、そんなことを知っている受験生は、まずいないでしょうから、「空所補充」として対応するのが無難ですよ。直前の一文には、
Are the leaders of this planet hiding from us?
とあるので、ここでは、about meeting us に対して、消極的〜否定的な意味のことばが入る、と思えれば十分でしょう。
「配慮・思惑」よりは「遠慮・敬遠」あたりが浮かんでいて欲しいところ。

問4は、いきなり「日誌の主」の description を求める設問。
DAY 8 の記述で、

Unlike our planet, which is totally covered with the precious liquid that sustain us, ….

とあるので、「主」の星は、液体で覆われていて、その中で生命が維持されていることがわかります。
また、DAY 9 の記述に、

Without arms, these swimming creatures wouldn’t be able to build complex machines even if they were smart.

というタイプ2の conditionalsが使われているので、この「主」は、腕があり、高度な知性で複雑な機械が作れる生命体ということがわかるでしょう。
そして、重要な情報がDAY 19に。

We were especially surprised to find one that looked very similar to us. The upper part of its body was round and soft. Underneath that were two large eyes and several long arms. It escaped quickly, leaving a cloud of black substance.

ただし、ここで気をつけなければならないのは、あくまでも「外見」が似ているということで、「黒い物質を後に残して、素早く去る(逃げる)」という行動の部分がこの「主」に似ているという保証はないということ。どういう調査で、その生き物の「上下」を確認したのか、その柔らかさを確かめたのかを知りたいところです。

問5の該当箇所は、 抜粋の最終日に当たるDAY 40でしょう。

We, creatures living in liquid, had never imagined creatures like them! Floating safely in our ship’s liquid, we realized that our common sense had led us to the wrong conclusion.

という記述から、「主」たちの常識を示している選択肢を探せばよいでしょう。

「物語文」は楽しかったでしょうか?私は今回の出題には批判的な立場です。
語学力のうちの「読解力」として、背景知識、内容スキーマに頼りにくい「フィクション」を読む力も重要な要素の一つだとは思うけれども、外国語としての英語力を考えたときに、SFとかファンタジーをもとに、内容理解を問うのはいかがなものだろうかと思う次第です。

TOEFL
IELTS
Cambridge

で、Sci-fi がリーディングマテリアルで出題されていますかね?
言語テスティングの専門家の意見を訊いてみたいものです。

センター試験とは離れますが、次の英文をちょっと読んでみてください。

Underneath Raccoon City exists a genetic research facility called the Hive, owned by the Umbrella Corporation. A thief steals the genetically engineered T-virus and contaminates the Hive with it. In response, the facility's artificial intelligence, the Red Queen, seals the Hive and kills everyone inside.

Alice awakens naked in the bathroom of a deserted mansion with amnesia. She dresses, checks the mansion, and is subdued by an unknown person. A group of Sanitation Team commandos led by James Shade breaks into the mansion and arrests Matt Addison, who just transferred as a cop in Raccoon P.D. The group travels to the underground train under the mansion that leads to the Hive, where they find Spence. The commandos explain that everyone in the group except Matt is an employee of the Umbrella Corporation, and Alice and her partner Spence are security guards for a Hive entrance under the disguise of a couple living in the mansion. Five hours prior, the Red Queen had shut down the entire facility and released a gas which killed everyone inside, flooded the labs, and destroyed the elevators, also causing Spence and Alice's amnesia.

At the Queen's chamber, a laser defense system kills Shade and three more commandos. Despite the Red Queen's urgent pleas for the group to leave, Kaplan disables the Red Queen systems, and the power fails, opening all of the doors in the Hive. This releases the zombified staff and containment units containing Lickers. When everyone regroups, they are ambushed by a horde of zombies and a gunfight ensues. J.D. perishes as the group becomes overwhelmed. A bitten Rain retreats with Kaplan and Spence; Matt becomes separated from Alice, who starts regaining her memories.
https://en.wikipedia.org/wiki/Resident_Evil_(film)

この英文はウイキペディア英語版の 映画 “バイオハザード (Resident Evil)” (1996年作品)のあらすじです。

では、こちらの英文はどうでしょう?

Moominmamma and Moomintroll are travelling through a dark and scary forest looking for Moominpappa, who has gone off adventuring with the Hattifatteners. They meet a little creature, who joins them (in later books he is named Sniff). They use a glowing tulip to light their way, and are attacked by a giant serpent whilst crossing a swamp. They are saved when a beautiful young girl with shining blue hair called Tulippa emerges from the tulip and scares the serpent away.

They later arrive at a mountain and find the home of an old man, who invites them to live in his garden, which is made entirely of sweets. However, when they find out that the sun is really a giant lamp and there's no real food, they leave and continue their journey, travelling through the mountain to the beach on the other side. On the beach, Moominmamma gets attacked by an ant-lion, but Moomintroll and the others manage to save her. Deciding to move on, they come across a group of Hattifatteners about to set sail on a boat, and join them. A storm strikes, but a sea-troll helps them out and navigates the boat to a large harbour where they go ashore.
https://en.wikipedia.org/wiki/The_Moomins_and_the_Great_Flood

こちらは、同じくウィキペディアの英語版から、The Moomins and the Great Flood (1954年作品) のあらすじです。

サイエンスフィクションやファンタジーの読みにくさが少しは分かってもらえたでしょうか?

センター試験終了からずいぶん日が経ちましたが、世間では、もう、誰も「センター試験の英語そのもの」「センター試験で使われた英語の是非・適否」について気にしていないかのようです。それにも関わらず、来年度の「センター試験模試」や「対策教材」では、今年の出題を「なぞった」、劣化コピーのようなものが世に出てきて、現在の高2生や高1生は、その「劣化コピー」をもとに、せっせと問題演習に励まされることが予想されます。
もっと健全で、生産的な英語学習にエネルギーや時間、お金を使いたいものです。

本日のBGM: Close Encounters (Harry Hosono & The World Shyness)

心焉に在らざれば視れども見えず

本日は告知から。

山岡大基先生より、ご恵贈いただきました。誠にありがとうございます。巻末では、過分な謝辞までいただき恐縮しております。話せば長くなるので詳細は省きますが、この書が世に出て本当に良かった。自力で活用できる高校生は限られるかもしれませんが、まずは指導者が読んで試してみましょう。まさに地道にマジメな臨床の知の結晶です。 (密林へのリンクはこのエントリー最後にもあります)


(MP3音声無料DLつき) 英語ライティングの原理原則――テストに強くなる、レポート・論文で評価される

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今日は、2018年センター試験批評の「その2」。
恐らく、この「センター批評」も今年で最後になるだろうから、例年以上に、「普段の授業」との接点を念頭に置いて論じてみたい。

第4問・A 所謂「図表・グラフ」問題。近年のこの問題を見るたびに思うのです、

  • 英語力の何を診る設問なのか?

そして、

  • 現行の学習指導要領に基づく教育課程で「英語表現」の教科書はどの程度「グラフ」や「表」を英語で説明するためのスキルを養えているだろうか?

と。

この第4問Aでは、グラフ (Figure 1.) の説明にある、

The percentages of the participants who placed high importance on color when purchasing six everyday products.

がきちんと読めることが大前提。

  • 関係代名詞whoは主格
  • place importance on A 「Aに重きを置く;Aを重視する」
  • when purchasing ≒ in purchasing 「購入に際して」

あたりが怪しいと厳しいですよね。
そして、このplace A on B が接触節となることで、後々の文では即座に反応できずに、話の展開を推測できなくなった受験生が少なかったことを願うばかりです。
私のクラスでも、既習の文から、接触節や関係詞節を作ることで名詞句を括り出す練習は、中学校素材から始めて高校素材でも折りに触れて行っているが、状況は余り明るいとは言えませんから。

棒グラフの「棒」のそれぞれを特定するのが、問2なのですが、この設問は、第3段落の、

A total of 36.4% of the participants placed importance on color for cellphones. This was the highest among the electronic products but only slightly more than half of that for bags, which appeared one rank above.

という2文が読めるか、を問うているに過ぎません。でも、ほとんどの高校生が、このレベルの英文がきちんと読めないわけですよ。「コミュニケーション英語」という科目では、グラフや表の読み方として、実数、少数、分数、比例・割合・パーセンテージ、増減、序列・序数をどの程度扱っているでしょうか?では、「英語表現」では「表現」するまえに、読んだり、聴いたりする活動が十分に保証されているでしょうか?

でも、よくよく考えてみてください。裏返してみれば、我々が日常で英文とグラフを見るときは、そこについている凡例で、どの棒が何を表しているか、既に見ていることが多いわけです。グラフ全体という非連続テキストの中の各々の棒という限定的な連続テキストとして。その上で、脳内(?)で言語化するなり、ことばを補うなりして、「読み」に移行するわけですから、むしろ、グラフは全部与えておいて、それを適切に言語化したものとして「英文を完成させる」ことこそ、英語力の試験として適切なのではないのか、という思いは消えません。

「言語テスティングの観点」といえば、「論理的な次の展開」を推測させる設問は「常套手段」です。ただ、問4の、

  • What topic is most likely to follow the last paragraph?

という問いは、昨年でも指摘しましたが、作問としては稚拙。

この設問では、最終段落に

Therefore, it is necessary to consider the importance consumers in other parts of the world place on color in their choices of products. The next part of this passage will examine this topic.

と書いてしまっているのだから。

にもかかわらず、多くの高校生は、このレベルの英文が一読了解とはならないわけです。上述した、place A on B が接触節になったのと、when purchasing として述べていた部分が、in their choices of に言い換えられただけなんですけど。
でもね、これって「センター」を「ヨンギノー」試験に置き換えたら、みんな出来るようになるんですよね、たぶん、きっと…。

B. の「料理教室の告知文」に関わる設問は、私は高校生に課すべき英語力の試験だとは認めていないので、例年同様取り上げません。来年、これ以上に配点が増えたら生徒は可哀想ですが、仕方ありません。

ということで、本日のセンター批評はここまで。次回は「タコ星人」を取り上げます。
嗚呼、そうか、今になって思いついたのですが、今年の第4問のBは「料理教室」ネタにするにしても、そのネタを「『明石焼』のレシピを伝授!」とでもしておけば第5問への伏線として面白かったんでしょうね。


さて、
呟きのタイムラインで気になったことがあったので、連投したのですが、こちらにも再録して終わりとします。

「お題とテクストタイプ」に関して。

センター試験が終わると、二次試験対策で「意見文」ばかり書かせる「進学校の指導」がそろそろ収まって欲しいと思うのですよ。「お題とテクスト」に関して、このエントリーだけでも相当多くの気付きがあるだろうと思います。
http://tmrowing.hatenablog.com/entry/20130423

それでも、「意見文」「論証文」の指導が必要になるなら、まずは指導者の方がこちらをどうぞ。
(MP3音声無料DLつき) 英語ライティングの原理原則――テストに強くなる、レポート・論文で評価される 山岡 大基
(MP3音声無料DLつき) 英語ライティングの原理原則――テストに強くなる、レポート・論文で評価される

相変わらずの「添削」に関する teacher's beliefs。

「お題」に対して学習者が書いた「英文」にFBを与えるのは主として教師の仕事。「添削は書く意欲を下げる」と言う教師は、「お題」設定の前段階からやり直した方がいい。それは「プロセスライティング」の流儀や作法以前の問題。そういうことを学べるのが『パラグラフ・ライティング指導入門』です。

「意見文」の指導が大好きな教師がいたら、こう尋ねてみるといいですよ。 50語であれ、80語であれ、100語であれ、その分量できちんとつながりとまとまりのある「英文」を、その課題以前に学習者が「読む」機会をどれだけ設けましたか? 同様の質問は「要約」の指導が大好きな英語教師にも是非。

あるお題で書かれた80語の意見文のお題を外して10ピース位用意して、それを全部読んだ上で、「お題」は何か?を考える。次に、その10の意見を賛成・反対・その他などに類型化し、自分の意見に一番近いものを選ぶ、等々、授業でライティングを続けている教師だからこそ書く前に出来ることが見えるもの。

本日のBGM: Colour Field / 青春はいちどだけ (Flipper's Guitar)

名目

久しぶりに風邪を引きました。
例年、この時期にはセンター試験の批評をブログにアップしているのですが、今年はこちらの表彰式に出席するために上京していて、その後風邪で体調を崩していたので、まとまった記述を残せていませんでした。

平成29年度文部科学大臣優秀教職員表彰
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/30/01/1400219.htm

往路は朝イチの便で飛ぶはずが、そろそろ「これから機内へとご案内…」の時間になってから、まさかの機体整備不良のアナウンスで欠航。仕方なく、2時間後の別会社の共同就航便へ振り替えて、搭乗し羽田へ。電車を乗り継ぎ、受付〆切時間ギリギリで会場へ。被表彰者の数が数だけに式次第、式自体がこれまた長く、講堂にずっといたので、乾燥で鼻&喉がやられてしまいました。表彰式の後は妻の実家にご挨拶に。翌朝の帰路の一便は、山口が濃霧で、条件付き飛行。福岡着陸か羽田に引き返すこともあるとのことで、同僚に連絡し、「万が一の場合は自習で」とお願いしてから搭乗。何とか、無事に山口に着陸して事なきを得たのはいいのですが、喉鼻の調子が劣悪で、その翌日からマスク着用の日々。この週末になって漸く回復の兆しが見えてきました。これだけの不調は、一昨年の全英連・山口大会の時期以来ですから、人間、「らしくない」ことをすると身体が正直に反応するということなんですかね?

ということで、地理のムーミンと、英語のタコ星人で話題沸騰の2018年センター試験、英語・筆記でざっくりと気になったところだけ掻い摘んでコメントを加えておきます。

巷では、筆記で「対話文」の空所補充完成がなくなった、という点を殊更取り上げているようでしたが、他の問題でもまだまだ「不必要に対話文が多い」とは思わないのが不思議ですね。


第1問は廃止すべき設問なので講評にも値しません。出題に定見なし。恐らく、総合点との相関も低いでしょう。問4の選択肢の中で、supermarket一つだけ語形成の背景が異なる気がします。原則として4音節以上の語で、副詞(一部形容詞)の強勢を問うこと自体が「?」だと思います。


第2問 Aは短文(1文から2文)での空所補充完成。語彙、語法、文法とも「瞬殺」のレベル。一番気になったのは、人物名ですね。

Jeff
Brenda
Nicole
Rafael
Melissa

こんなにたくさん必要ある?そして、どういう背景の人たち?特に深い意味はないの?じゃあ、「教師」「生徒」とか「生徒A」、「生徒B」とかで十分なんじゃないの?という部分になぜ誰も切り込まないんでしょうかね?

文法面でいうと、問6は丁寧に扱って欲しいところ。whatに後続する形となっている we thought は挿入ではなく、当事者の判断を表しているものなので。再度いいます。挿入じゃないんですよ!
問8から2枚抜きになっていますが、lookが直接目的語をとるケースはごく限られた意味ですから、この場合は錯乱肢としての効き目が薄いですよね。

She looked him in the eyes. (=to direct a look at)
He said nothing, but looked his disappointment. (=to express or suggest by looks)
He doesn't look his age. (= to appear equal to)


第2問Bは、対話文形式での整序完成。対話である必然性は?それぞれ日本語訳してみたら、整序完成した英文の意味内容で対話が終了になるとは考えにくいだろうに。ねえ?

問1
生徒:豪州からの留学生が着いたらどうする予定?
教師:初日の晩は、親睦をはかるために河原でバーベキューです。
そもそも、生徒はなぜ一人しかいないの?

問2
Bridget: あなたのバスケットボールは昨シーズンを振り返ってどうでしたか?
Toshi: 私はチームで二番目に多く得点をあげました。
Bridgetは、ほぼ女性で間違いないとは思うんですが、Toshi のこの答えを聞いてどう反応するのだろうか?契約更新時の査定で、女性オーナーとのインタビューの冒頭の場面?

問3
Evan: コンピューター買うの初めてなんだけど、どれ選んでいいんだか…。
Sam: 大丈夫。量販店には専門のスタッフが常駐していて、コンピュータ操作に不慣れな人向けに助言をしてくれるよ。
「エディオン」にするか「ヤマダ電機」にするか、それとも「アップルストア」にするか、でまた悩むのでは?もっとも、日本の学生なら、大学への進学が決まってから悩んでも間に合うと思うけど…。

整序完成とはいえ空所に当たる部分は完全に連続しているので、選択肢だけ見てもできてしまうのですが、多くの高校生は、この基本的な語順やコロケーション、表現そのものが身に付いていないために失点するのでしょうね。どうしましょうか?


第2問Cは対話文形式で、応答として適切な英文を完成するように、3つのパート(ブロック)の夫々で2択。選択肢は組み合わせどおりで8つあるのだけれど、どう考えても英語としてあり得ない語(句)の連続は排除されるから、最初のパートで4つに絞れたりします。この出題が始まってすぐに、「一刻も早く廃止して欲しい形式」と主張していたのですが、なんということでしょう、今年はこの出題のターンが増えました。いったい英語力の何を測っているんだろう?コミュケーションを支える文法力?

問1 の最初のパートで、直前で既に与えられている、that節中の主語に相当する語がitなので、人や擬人化できるものでなければ意味が整合しない、<plan to 原形>が能動で使われることはあり得ません。ここをwas planned to とすれば、英語になりますが、そうすると、選ぶのはA でもBでもよくなります。ということは、これは英語のテストになっていないということでしょう?ホントに、今年の追試はもう止められないので、来年の出題では是非とも廃止して下さい。お願いします。

対話形式なので肩書きや立場または名前が出てきます。

問1の "Shelly" といえば、画像検索でほぼこの人が出てきますね。

https://www.google.co.jp/search?biw=1200&bih=575&tbm=isch&sa=1&ei=7xtbWuXYKMv_8gX2jZaIBg&q=Shelly&oq=Shelly&gs_l=psy-ab.3..0l8.331394.331919.0.332603.2.2.0.0.0.0.102.191.1j1.2.0....0...1c.1.64.psy-ab..0.2.190....0.X56mgaoytv4

そして、相手のLisaで検索すると、こちらの方が!

https://www.google.co.jp/search?biw=1200&bih=575&tbm=isch&sa=1&ei=PR1bWpnUCIyw8wW-sJmgCw&q=Lisa&oq=Lisa&gs_l=psy-ab.3..0l8.79440.82387.0.83224.10.10.0.0.0.0.128.888.5j4.10.0....0...1c.1.64.psy-ab..0.9.888.0..0i4k1.71.792Fb-DP83I#imgrc=UqsEftCJ3v5ZoM …:

問2はTomohiro とCaseyの対話。 Tomohiroでは意外な検索結果が…。

https://www.google.co.jp/search?biw=1200&bih=575&tbm=isch&sa=1&ei=9B5bWpPWLYeA8wX2lKLgAQ&q=Tomohiro&oq=Tomohiro&gs_l=psy-ab.3...0.0.0.4693.0.0.0.0.0.0.0.0..0.0....0...1c..64.psy-ab..0.0.0....0.cIkI4p568Ao

Casey でようやく男女混交で出てきました。

https://www.google.co.jp/search?biw=1200&bih=575&tbm=isch&sa=1&ei=ER9bWoOqEsj_8QW4_oqICA&q=Casey&oq=Casey&gs_l=psy-ab.3..0i4k1l4j0l4.123541.128897.0.130862.16.15.0.0.0.0.157.1312.9j4.14.0....0...1c.1j4.64.psy-ab..6.9.812.0...75.RN1Sx_N-FN4

問3では、ほとんどの高校生が発音できていないであろう、Hoang と 日本人の名前っぽい Naoの対話。 Hoang は男性?女性?

https://www.google.co.jp/search?biw=1200&bih=575&tbm=isch&sa=1&ei=ix9bWsaxF8Hy8AWc77S4CQ&q=Hoang&oq=Hoang&gs_l=psy-ab.3..0l3j0i30k1l5.113489.118062.0.119372.10.10.0.0.0.0.132.870.8j1.10.0....0...1c.1.64.psy-ab..0.9.869.0..0i4k1.76.2GVmGW4b3jg

そして、今回の検索で最も驚くべき結果が、Naoでした。

https://www.google.co.jp/search?biw=1200&bih=575&tbm=isch&sa=1&ei=AyBbWseEKsf78QXg_LfYAg&q=Nao&oq=Nao&gs_l=psy-ab.3..0i4k1l3j0l3j0i4k1l2.63166.64828.0.65355.8.8.0.0.0.0.94.626.7.8.0....0...1c.1.64.psy-ab..0.7.625.0...74.rWWvMBiqw7g

インタビューや対談でもないのに対話文を読ませる出題って、いつごろからこんなに増えたんだろうか?私は、名前が読めない(音声化できない)ということでどれほど、思考や理解が阻害されるか、もっと気にして欲しいと思っています。言語テスティングの分野ではそういう研究はされているのだろうか?


第3問は、本来「読解」問題ではなく、「つながり」と「まとまり」を作る力があるのかを診る「ライティング」代替問題だというのが私の見立てです。その観点で言えば、今年は拍子抜けですかね。

Aの不要文選択の問2で「トマト」の話がありましたが、高校の授業でもこういう百科事典的定義(文)をもっと扱うべきだと思っています。以前の高2の授業ではこんなことをしていました。

http://tmrowing.hatenablog.com/entry/20130423

このピーナッツのキャラクターが登場する事典は1977年刊の古書。

例によって絶版ですが、類書には事欠きません。例えば、こちら。




英語ネイティブの子供用図鑑・事典のようなボードブックだけれど、Q&A形式で、回答はフラップをめくることでgeneralからspecificへと記述が進む構成。このレベルの英語が話せて書けることをまずは目指してもらっています。

B. の「ディスカッションもどき」問題も凄いですよ。登場人物は過去最多の7名。これっきりで最後まで何も言わないマイケルのターンが異様に長く、134語の意見語り。それをピンポイントで8語で要約してくれる敏腕司会者ジェニファー、そしてその要約にマイケルは全くダメ出しをしないというお約束設定。

この「やりとり」の最後はジェニファーのターンで終わっているけど、最後の一文の語りに、ジェニファーという名前をつけて新たに起こすのは、何か表記上のルールがあるのだろうか?この間に「発言者一同、大いに頷く」というようなト書きがあるなら、別な発言者として示す意味もわかるのだけれど。ここはひとつながりの発話ではないの?

「もどき」に対する批判は2010年くらいから続けていましたけれど、2015年にこんな批判をしたら、2017年の本試験でついに登場人物が増え、リスニングにも「もどき」設問が入りました。センター試験も「改善」されてきているということですね。
よりよい設問、より良い試験。

http://tmrowing.hatenablog.com/entry/20150118

無理に「ディスカッション」にしようとするから、登場人物の数やターンテイキング(の不自然さ)が問題になるわけで、最初から「もどき」を考えなければ、「やりとり」を見せるには、登場人物は二人で十分なんですよ。対話・対談、面接やインタビューです。2016 年の追試験みたいに。聴衆・参加者のたくさんいるはずのセミナーなのに、ひたすら二人で話しが進みますから。

以上、前半の第3問までをとりあえずアップしておきます。

本日のBGM: 名前をつけてやる(スピッツ)

2017年を振り返る5枚のアルバム

今日は、本業とも生業とも離れて、個人的趣味で。

心身ともに疲弊していた一昨年末から昨年の前半にかけては、あまり音楽を聴けていなかった(通過していたという感じでしょうか)のですが、春先から徐々に復調し、夏からは音楽とともに生き、生かされていた気がします。
例年よりは少ない枚数ですが、今後とも聴き続けるであろう個人的名盤を紹介。

  • Aimee Mann / Mental Illness


米国での発売は2016年ですが、邦盤は2017年なのでお許しを。春先にこれを聴いて救われた一枚。懺悔、そして赦しと癒し。’til Tuesday 時代からずっと聴いているAimeeの声なのですが、このアルバムではその「声」が歌詞よりも、メロディよりも重要なアルバムだろうと思います。年の瀬に、我が家で飼っていた猫の「タマ」が不慮の死を遂げたのですが、その喪失感をなかなか受け入れることができず、このアルバムを聴き続けていました。2017年を象徴する一枚と云えるでしょうか。

  • Lee & the Small Mountains / カーテンナイツ


世間は「源」に目が行っていたであろう時に私が聴いていたのは、リー・ファンデ率いるこちらのバンド。ポップでロックでソウルフルでキュート。バンド名がLee & the Small Mountainsと英語なのに、アルバム名はカタカナというのもツボ。
オープニングのTeleport City を聴いたときのワクワク感はBenzoを聴いた時以上かもしれません。レーベルがRose Recordsですから、曽我部さんのテイストに適っているのだとは思いますが、そんな予想や期待を超えていって欲しいアーチストです。若い世代がM4のPowerなどを聴いてどう感じるのかを知りたいですね。

  • 原田知世 / 音楽と私


デビュー35周年記念盤。アイドル時代からの曲をセルフカバーした、オールタイムベストとも言えるアルバムです。私は1992年のアルバムGarden以降の、アーチスト原田知世を評価していますが、今だからこそ歌えて輝く初期の楽曲(ダンデライオン、ときめきのアクシデント)もあり、愛聴盤になりました。全国ツアーは博多まで見に行ったのですが、天国にいちばん近い島で自分が泣くとは全く思っていませんでした。カタルシスと歓喜です。

  • Carnation / Suburban Baroque


何と云っても、矢部浩志さんのドラムが聴けるというところがこれまでの数枚との違い、と思って聴いていて、楽曲そのもの、歌(唄、詩)の持つ力というか、連れていってくれる世界が新たなステージに入ったな、という「これぞ名盤」というアルバム。サポートに松江潤、佐藤優介も参加。嫌いになれるわけがないじゃないですか。
地元の山口市で直枝さんのソロライブが実現し、Peanut Butter & Jellyを一番前でじっくり歌に浸れたのも忘れられない出来事でした。

  • 細野晴臣/ Vu Jà Dé(ヴジャデ)


これは、もうタイトルが全てを語っているアルバム。二枚組。年末にこれが届いていたのですが、「タマ」のこともあり、なかなか聴く気になれず、実際は年を越してから全編を通して聴いた次第。
「既によく知っていることがらを初めて体験するかのような新鮮な感覚」
Disc 1のベースは全て伊賀航さん。この空気感は音響ハウスでの録音も大きな要素なのだろうと思う。HOSONO HOUSEとともに無人島アルバムになるかなぁ…。

本日のBGM: 上記5枚のアルバム。